タレント、ヒロミさんに教えてもらったこと。負けを認めたら、新しい扉が開く。

 

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すっかり日の出が早くなりましたね。
今年は冬が寒かったので、いつの間にか春がやってきて
「あれ?今日の服、間違えちゃったかな?」と戸惑う毎日です。

さて、今日は本を1冊ご紹介。
いや〜、これ、面白かったな〜。

「小休止のすすめ」 (SB新書)

タレントのヒロミさんと、サイバーエージェント社長、藤田晋さんの共著です。
お二人のエッセイが交互に出てくるのですが、
特にヒロミさんのパートに、「ウンウン」と頷くことがいっぱい!

40歳から10年間、タレントを「小休止」して、テレビから姿を消したヒロミさん。
その間、芸能界の人とはほとんど付き合わず、20代のベンチャー企業の経営者と
釣りに行ったり、キャンプ行ったりと遊び始め
彼らの影響で「ビジネスも面白そうだ」とトレーニングジムをオープン。
そして、約10年後、急に風向きが変わって、テレビに復帰。

一旦小休止したからこそ見えてきたこと、考えたこと、見つけた真実が綴られています。

 

自分が必要とされていないな、と感じた時、
それでも、としがみつき、テレビの仕事を続ける、という方法を取らなかったヒロミさん。
どんなに怖くて、不安だったことだろうと思います。
でも、そこで「引いた」からこそ、
「小休止を取って別の世界に身を置くと、まったく違う風景が見えてきた」
と書いていらっしゃいます。

「この決断にプライドを保つためにも、僕は1回、胸を張って負けを認めることにした。
(中略)
自分は一時代を築いた……みたいなプライドを守って、負けを認めないであがいといると、
次の扉を開けることができなくなる。(中略)
実績もプライドもぽいっと捨てられるよう自分と対話するのが、小休止に入るときに
すべきことなのかもしれない」

 

そして、不安への対処法が、周りの人の力を信じること、だったそう。

「不安が大きくなってしまったら、『不安が大きくなってどうしたらいいかわからない」と
言ってしまえばいい。必ずサポートしてくれる人が現れる」
と。

そして最後にはこう綴られています。
『小休止後、テレビの仕事に戻って、確実に仕事観が変わった。
(中略)
イメージしているのは『歯車』だ。(中略)昔の自分も歯車の1つだったが、
当時は一番大きな歯車だった。そして本人としては取り替えの利かない歯車だと思っていた。
でも大きくて目立つ分、交換も簡単だった。
だから今度は機械の奥の方にある、小さな、でも取り替えの利かない歯車になりたい」

 

なんだかこの頃うまくいかないなあ〜と思ったとき、
「小休止」する、というのは、とても勇気がいることです。
今まで積み上げてきた積み木を、一旦壊して箱にしまうことなんですから。

でも、一度しまうから、「次に何が作れるかな?」と考える力が生まれる……。

壊してまっさらになった風景を見る。
心がす〜す〜する。
そんな体験があってこそ、「だったら?」と考える。
人間って弱いものだから、うまくいっているときには、この力が出ないのだと思います。

そんな心のプロセスが丁寧に綴られていて、
実際に「小休止」する機会がなかったとしても、
その心の持ち方のディティールに、学ぶことがいっぱいです。

休んだって、やめたって、きっとまた次の扉が開くんだ、と
勇気をもらった気がしました。

 

 

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