クヨクヨ悩むのは、その先に何かきっと目的があるから

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先日、我が家で「暮らしのおへそvol26」でお世話になった方々にお越しいただき
おへそパーティーを開きました。
お料理を作ってくれたのは、按田餃子の按田優子さん。

次々に茹でたての水餃子が出てきて、おいしかったな〜。

 

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そんなおいしいものをいただきながら、いろんな方と取材の時とはちょっと違い
肩の力を抜いてお話しできるのがこの「おへそパーティ」の良さ。

私は誌面でご紹介した稲葉俊郎さんとお話ししておりました。
東京大学医学部付属循環器内科で医師として働いていらっしゃる稲葉さん。
でも、その姿は相当型破り!
西洋医学以外に、伝統医療や民間療法にも目を向け、さらには音楽や芸術にも造詣が深く
なんとお能まで習っていらっしゃる!

詳しくはぜひ誌面をごらんくださいね。

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つい最近も、いろんな場所でトークイベントに登壇されたりと大忙し!

「外来の患者さんも診られるのですよね?」
「はい、もちろん」
「すごくたくさんの患者さんがいらっしゃるんでしょう?」
「そうですね、でも僕はなるべく一人一人の患者さんとできる限り時間をとってお話をするように
しているんです。体のことでいらしても、その大半は心の話をします」

「ずっとお話を聞いていると、辛かったり、心配だったり、不安だったり。
そんな患者さんの悩みに、心がのっとられることはありませんか?」

すると、稲葉さんはこんな風に答えてくださったのです。

「もちろん、できるだけその人の心に自分の心を重ね、寄り添うことは大切です。
でも、診察が終わったら、自分自身にちゃんと戻ることがもっと大事。
自分が戻る場所=軸さえあれば大丈夫なんです」

多少言葉は違ったかもしれませんが、こんなお話に私は「なるほど!」と
深く深く納得したのでした。

 

「どこかへ行っても、自分に戻れば大丈夫」

 

これは、どんなことにも言えるのではないか……。
ちょうどこの頃、私は仕事でちょっと凹む出来事がありました。
あ〜あ、せっかく頑張ってきたのになあ。
いつもうまくいくとは限らないよなあ。
世の中には、いろんな人がいて、「いい」っていう人も「イマイチ」っていう人もいるんだよなあ。

こうなると、くよくよ悩んで、全てが悪い方向へ流れていきます。
人の目を気にせず、自分らしく進んでいけばいい。
絶好調の時はそう思えるけれど、
弱気になった途端、周りの評価が気になって仕方がない。
相変わらずのビビリンボで、相変わらずの「気にしい」の自分が、ほとほといやになるのでした。

でも………。

気にしてしまうものは仕方がない。
気にして、クヨクヨ悩んで、散々ウジウジしたあと、
また、自分に戻ってくればいいんだ!

稲葉さんにそう教えていただいた気がして、
「ウジウジする自分が嫌でウジウジする」ことも、引き受ければいい!
と思うようになりました。

クヨクヨ悩むことは、やめようと思ってもなかなかやめることはできません。
それよりも、ちゃんと戻ってこれる「自分」を作っておけばいい……。

 

そんな稲葉さんの新著「ころころするからだ」(春秋社)は、
言葉や食、芸術など、いろいろな角度から「いのち」を紐解く、というもの。
はっと新たな視点を教えてくれる言葉がたくさん綴られています。

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その中で、「医療と言葉」について書かれた中に、
私のクヨクヨに効く特効薬のような言葉がありました。

患者さんが「言葉」で病状を語るのを聞きながら、その原因を考えるとき……。

「心身に起きている原因を突き止め、『病名』として分類し、
『病気』へと至った因果の鎖を断ち切るように治療を行う。
(中略)
ただ、現場で数多くの症例を見ていると、たった一つの原因で全てを説明できること自体が
かなり稀なケースであることもよく知っている」

「自分は、心身に起きる現象を『因果論』により原因を探すことも行いながら、
同時に『目的論』の視点を重ねて考えるようにしている。
『因果論』では視線が過去の方に向かうが、『目的論』では視線を未来の方に向ける。
『目的論』とは、『いまこういう状況が起きていることは、どういう目的があるのだろうか。
何を実現しようとしてこうした状況を起こしているのだろうか』と考え、『では、どうすればいいだろう』と前向きに捉えてみる考え方のことだ」(『ころころするからだ』より)

 

 

なるほど〜。と唸りました。
私がクヨクヨするには、何かきっと目的がある。
そう考えると、足元に落ちていた目線を空へと上げられる気がします。

 

稲葉さんに本にサインをしていただきました。

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(お隣は按田優子さん)

なんども読み返す1冊になりそうです。

 

 

 

 

 


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