豊かさってなんだ? 失敗の巻

img_6335

 

はじまりは、今年の夏、青森の三内丸山遺跡に行ったことでした。
日本最大級の縄文集落跡です。

今から5500年〜4000年前の縄文時代、長期間にわたって定住生活が行われていたそうです。
びっくりするほどの大きな掘立柱建物跡があり、膨大な量の縄文土器、装身具、豆やごぼう、栗など、栽培していたであろう植物も出土しています。

どうして、ここにこんな大規模な遺跡が残っているか。
それは、かつてこの土地がとても温暖な気候で、農作物が豊富に採れ、海や山が近かったからだそうです。
展示館でそんな説明を読みながら
「へ〜〜!!」
と私は随分感心したのでした。

「そっか。気候が温暖だと、食べ物がいっぱい採れるんだ。
食べ物がいっぱい採れると生活が豊かになれるんだ」

そんな当たり前で単純なことが、すとんと胸に落ちました。

「お金を稼いで豊かになる」という社会にどっぷり浸って生きている中で
「食べ物を収穫して豊かになる」という方法がある、
ということを、縄文のでっかい遺跡を目の前に
やっと実感できた気がしたのです。

そして、
う〜ん、私も「そっちの豊かさ」を体験してみたい!
と思ったのでした。

そこで、自宅に帰って、庭の片隅に畑を作ってみることにしたのです。
今まで、いろんな取材で野菜を育てている人のものを訪ねましたが、
自分でやってみようなんて、一度も考えたことなんてなかったのに……。

さあ、ここからが大変!
庭の片隅を「ここ」と決め
まずは、スコップ片手に土を掘り起こすことから開始!
いや〜、土の中にはいろんなものが埋まっているのですね〜。
おそらくこの家をリフォームしたときのものか、タイルやプラスチックの破片や
もちろん、石ころや……。
掘り起こしたら、アマゾンでポチって買った大きなふるいにかけます。
このふるいにかける作業がツライ………。

汗だくになり、腕がぷるぷる震え、クタクタになりました。

img_6428

 

やっと、ふかふかな土ができましたが、これからどうしたらいいのかわからない……。
インターネットで「畑の作り方」「野菜の育て方」などを見てみても
どれが正しい方法なのか、わからない。
できれば、あまり肥料などは使わず育てたい、と思っていました。

そこで、北海道の「食べると暮らしの研究所」の安斎伸也さんにSOS。
伸也さんは、すぐに「畑の写真を送って」と言ってくれ、
それを見て、「木灰を振りかけて混ぜて」とか
「畝を作って」「もうちょっと土をぐいぐいっと盛り上げて」
など遠隔操作で指導してくれたのでした。

img_6436

やっとできあがったのがこの形。

img_6442

そして、大根、小松菜などの種をまきました。
すると1週間ほどで芽が出た!

嬉しかったな〜。
ちっちゃな芽はかわいくて。

img_6556

自分で育てた大根を食べる日も間近!とワクワクしていたのです。
ところが………。
ちっとも大きくならない……。

そこで、やっと気付きました。
この畑の場所、壁の影になって、太陽の光がほとんど当たらない……。
自分ちの庭の日当たりにさえ、気づかなかったのです。

今、畑には10センチぐらいに伸びた大根葉と3センチぐらいの小松菜が育っています。
これ以上は大きくならないみたいだから、
そのおちびちゃんたちを摘んでお味噌汁の具に……。

 

img_6836

こうして、「我が家の畑から豊かになろう大作戦」は失敗に終わろうとしています。

でも、やってよかったな〜。
野菜をひとつ育てるのでも、
やってみないとわからないことがいっぱいありました。

太陽の光って偉大!
って知れたのもよかった。

 

いつか、日当たり抜群の場所で、ふかふかの土で、大きな大根を育てるのが
今の私の夢です。

 


一田憲子ブログ「日々のこと」一覧へ