出し惜しみしている暇はないけれど

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朝ウォーキングに出かけると、あちこちから梅の香りが漂ってくるようになりました。
蝋梅、白梅、紅梅……。
まだ冷たい空気の中、凛とした姿で気高く咲く梅はいいですね〜。

 

昨日は、拙著「丁寧に暮らしている暇はないけれど。」の発売日で、
なんだか落ち着かず、お尻がモゾモゾする感じで1日を過ごしました。
もし、読んでくださったら、感想など聞かせていただけると嬉しいです!

さて!

少し前のことになりますが……。
昨年、新木場にオープンした「casica」へ行ってきました。
古い銘木倉庫を改装したという店舗で、
鈴木善雄さんと引田舞さんがリノベーションを手がけたもの。
それは、素晴らしい空間で、他のどこにもないディスプレイに度肝を抜かれました!

この空間の2階での展示会に、いつもお世話になっている福岡の北欧雑貨の店「トラム」さんが
参加されていたのです。
会場に行くと、「あれ!」「あら!」と知った顔がいっぱい。

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コロモチャヤ」の中臣さんともバッタリ会いました。
帰りは吉祥寺まで一緒に帰りました。
新木場から吉祥寺まで小一時間。
電車に揺られながら、いろんなお話をしました。

ご自身の洋服のブランド「ホーチュニアコダータ」のデザイナーでもある中臣さん。
ものづくりのこと、カフェのこと。
色々悩みながら、精一杯背伸びして頑張っている姿には、
なんだか胸が熱くなるようで、フレッシュな心を持つことを思い出させてもらいました。

そして、私は最近あったこと、見たこと、感じたことを色々お話しました。
もし、私の些細な経験が、何かの糧になったら嬉しいなあと思って……。

実は、こんな風に話すようになったのは、ごく最近のことです。
以前は、「たかが私の経験をそんな風にエラソウに話すなんて……」と
妙に自意識過剰になって、自分にブレーキをかけておりました。

ずっと「偉そうに話す」ということを極端に恐れてきたような気がします。
「お前、そんなに偉いのか!」とささやく自分がどこかにいて……。

でも、ここ最近、「出し惜しみしている暇はない」と思うようになったのです。

そんな大したことを成し遂げたわけではないけれど、
私は私なりに、20代の頃から一生懸命「ライターになる」ことを模索して、
あちこちにガチンと頭をぶつけ、学んできました。
暗中模索の只中で、一体どうしたらいいのかわからず、
「正しい道ってどうやって探すの? 誰か教えて!」と思ったものです。
もちろん、それは自分で探すしかなかったのですが、
ほんの少しの誰かの言葉に、「あっ、そうか!」と光を見たことも数知れず……。

だからこそ、歳を重ねた今、
「そんなに偉いわけじゃない」などと、自分を出し惜しみするのではなく、
「こう思った」「あんなことがあった」「こういう方法もある」と
自分が経験したことを、語ろう!と思ったのです。

 

こう思うようになった理由のもう一つに、大きな心の変化があります。
正直に告白すれば、
若いころは「一人勝ちしてやろう」と思っていたのだと思います。
誰かを出し抜いて、自分が一番になってやろうって……。

そんなことしても、ちっとも嬉しくないし、ハッピーじゃない。
ってことが、お恥ずかしくも最近分かってきました。
素敵なものは、みんなで分け合って、みんなでハッピーになる方が、ずっといい。

だから、私が見たり、知ったり、聞いたことは、どんどん放出するし、
求められれば、教えるし、助けるし、役に立ちたいと思う……。

 

そう、「出し惜しみしている暇はないけれど」なのです!


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