深夜1時まで、車椅子テニスを見た日。

日が昇るのがだんだん遅くなり、
夜明けちょいすぎの美しくきらめく太陽に出会うことができる季節となりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

パラリンピックが終わりましたね。
私は、車椅子テニスを固唾をのんで見守っておりました。
車椅子に座りながら、ほぼ上半身だけで球を打つって、すごい!

特に、男子決勝の小田凱人くんの試合では、
普段夜10時半に寝る私が、
すっかり引き込まれて見続けて、気づいたら深夜1時でした。

試合前から、「勝つためにここに来た」「負ける気がしない!」
と豪語していた小田くん。

世界ランキング1位のイギリスのアルフィー・ヒューエット選手相手に
第1セットは6-2ですぐ奪い、
こりゃ〜、ほんとに勝っちゃうな!と思ったのだけれど……。

第2セットは、ヒューエット選手がどんどんギアをあげて、
4-6で奪い返されてしまいました。

しかも第3セットも相手に押されてリードされ、
とうとうマッチポイントを握られて……。
ああ、もうこれはダメだ……。
あんなに「勝つぞ!」って言っていたのに、負けちゃうんだな、
と思っていたら……。
なんと、なんと! そこから脅威の挽回!
7-5で逆転して、優勝したのでした。

第3セットで劣勢の中、
テレビを見ていても、明らかに小田選手の中で、
何かがカチリと切り替わった瞬間がわかりました。

マッチポイントを握られるまで、
押すに押されてしまっていた時間、
小田くんは、明らかに弱気になり、ミスが多く、精彩に欠けていたのです。

でも、ある瞬間から、ガラッと別人になった……。
耳に手を当てて観客の声援をあおったり、ニヤリを笑ったり。
マッチポイント握られながら、
よくこんなアピールするよな……
と驚いてしまったほど。

あとでインタビューを聞いたら、
マッチポイントを握られたあと、ヒューエット選手のドロップボレーがネットしたとき
「勝てる!と思いました」と語っていました。
そして、「それまでは、正直負けると思っていました」って。

ああ、「勝てる」って思うことって、
こんなにもすごいんだ!
と改めて思いました。

「思い方」次第で、こんなにもテニスが変わるんだって。
「負けるかも」と思っていた時には、ボールがアウトしたり、
ボレーを失敗したり。
でも、「勝てる」と信じたとたん、
バックハンドのウィナーがスパン!と決まり、
なにをやってもうまくいく……。

自分を信じることの強さを、目の前で見せてもらった気分になりました。

先日のテニスの帰り道。思ったより暑くて、水筒2本の水を飲み尽くし、もう1本ペッドボトルを買いました。

 

私は、びびりんぼのペシミストなので、
「よし、大丈夫!」と自分を信じることがなかなかできません。
大丈夫!と言って、大丈夫じゃなかった時に、自分が傷つくことが怖い……。

でも、もし「やれる!」と信じ切ってみたら、
未来は変わるのかも……
とちょっと思っちゃいました。

この本はきっと素晴らしい!と信じてみる。
私の仕事はきっと意味がある!と信じてみる。

今までは、「いやいや、ダメかも」「まだまだかも」と
マイナスのことばかり考え、不安になり、心配していたけれど、
もし、「よし!」と信じてみれば、
「信じた後」の時間が変わってくるような気がする……。

ダメだったら、ダメな時に考えればいい。
信じたあとに、自分がどう変わるのか?
私は、どんな行動をするのか?
その風景を見てみたいなあと思います。

小田くんの強さのもうひとつの理由は、
「自分だけじゃないから」でもあります。
9歳の時に骨肉腫を患い、車椅子生活となり、
入院中に見た国枝慎吾さんの姿がかっこよくて、
退院後すぐにテニスを始めたそう。

車椅子テニスをもっと知ってもらいたい。
自分と同じような境遇の子供達に「夢は叶う」と伝えたい。
その思いが、彼を強くしています。

まだ18歳!
おしゃれにもこだわっていて、
刈り上げた頭の微妙なラインは、自分でカミソリで調整するのだとか。

ビッグマウスで強気で生意気なんだけれど、
とことんまっすぐ!
私はそんな若者が大好きです。

自分を信じるって、どういうことなんだろう?
まずは、何を信じてみようかな?
夏の終わり、ちょっとスイッチを切り替えてみようかと
パラリンピックが教えてくれました。

みなさま、今日もいい1日を!


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