新刊「父のコートと母の杖」発売! 親の人生の最終コーナー私は父と母に出会い直した

今朝の東京は、雲ひとつない快晴。
朝の空気はまだ涼やかで、気持ちよく歩いてきました。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

さて!!
じゃじゃじゃじゃ〜〜〜ん!

「暮らしのおへそ」が発売になったばかりですが、
新刊のお知らせです。

とは言っても、発売はまだちょっと先。
11月1日発売です。

なぜ、2か月も早く、お知らせするのか……
の説明はまたあとで。

まずは新著のご紹介です。

タイトルは「父のコートと母の杖」(主婦と生活社)
副題として「親の人生の最終コーナー私は父と母に出会い直した」。

このブログでも時々書いておりましたが、
今年92歳になる父と、82歳になる母のこと、
その「老い」を受け止める私のことを綴りました。

今は、出張の前後に日程をあけて、実家に帰り、
父や母の手伝いをしたり、一緒にお墓参りに行ったり、ご飯を食べに行ったり
しておりますが、
両親との関係は、必ずしもずっとよかったわけではありません。

「いい子でいなさい」と育てられ、
優等生体質の自分を抜け出したくて、
実家から出たくてたまらなかった若かった頃……。
その頃、私は権威主義の父が大嫌いでした。

安定した会社員ではなく、フリーランスという職業を選んだのも
父とはまったく違う人を結婚相手に選んだのも、
両親の敷いたレールから飛び出したかったからこそ。

でも……。
結婚に失敗したり、仕事がうまくいかなくてお金がなくなったり。
そんな節目節目で、やっぱり理屈抜きにいちばん心配してくれたのは両親でした。

それでも、私は東京で自分の仕事をすることに必死で
親は親。私は私で頑張る!
という時代が長く続いたのでした。

それが、3年前に母が肩の手術をして入院したのを機に
ひとりになった父のご飯を作るために、
実家と東京を行ったり来たりの1か月を過ごしました。

実家に「立ち寄る」のではなく、「一緒に暮らす」という体験をして
初めて私は父と母の「82歳」「92歳」という年齢の実態を知ったのでした。

人は老いるんだ………。
そのことを初めて知ったときの苦しかったこと……。

そこから、私の「両親との出会い直し」の日々が始まったように思います。

何かが「できなくなる」とはどういうことなのか。
「身体が衰える」ということはどういうことなのか。

それを考えたとき、
初めて「親」という存在を超えて、父や母に向き合い、
これまでのふたりの人生の物語に、耳を傾け始めた……。

そんな体験は、私自身のこれからの日々を考えることにもつながりました。

実家から東京に帰る時、必ずマンションの下まで送ってきてくれる母。タクシーの中から手を振るたびに泣きそうになります

「はじめに」にはこんなふうに書きました。

「だんだんと体力が衰え、できないことが増える。
自分の親にその「年齢」がやってきていることを知ったとき、
訪れたのは「恐怖」だった。
怖さとは、何かが奪われる時、それに対して抵抗することで起こる感情だ。
父や母が、弱っていくことがイヤだ。いつまでも元気でいてほしい。
もしそうでなくなったら、いったいどうしたらいいのだろう?
そんなジタバタを経て、「老い」を受け入れなくては仕方がない、と理解し始めた時から、
私は父や母と出会いなおしてきた気がしている。

中略

この本では、そんな両親との出会いなおしの過程で、何を見つけ、
何を感じ、何を考えたかを綴ってみた。
それは思いがけず、私自身がこの先歳を重ねていく道にひとつ、ふたつと灯をともしていく作業でもあった」

父がサラリーマン時代に30年近く着ていた「バーバリー」のコートを譲り受けて着ています。
母は、家用と外用の杖をわけ、キッチンではその杖を置くときに、
倒れないよう、食器棚にクリップを挟み、そこに立てかけておくよう工夫しました。

そんな風景の中から
タイトルは「父のコートと母の杖」としました。

帯をとると、私の拙いこんな絵が出てきます。
これは、私が両親の誕生日や父の日、母の日に送っているファックスから
デザイナーの成澤豪さんが入れてくださったものです。

amazonでは、予約が始まっています。
ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

で!
どうして、こんなに早くに新刊のお知らせをしたかと言うと……。

親との関係って、人それぞれです。
もう会いたくない、という人もいるだろうし、
同居していらっしゃる方もいるはず。

さらに、介護の状況もさまざまで
私の場合は、まだ両親がふたりでなんとか暮らしてくれているけれど、
もっともっと大変な状況の方もいらっしゃると思います。

そんな中で、みなさんが、どう親と向き合い、
その中で、どんなことを知り、考え、
その後に、自分自身にベクトルを向けて、
ご自身の生き方をどう変えていったのか……。

そんな話を聞かせていただければなと考えました。

この本を「書きませんか?」と提案してくれた
主婦と生活社の編集者、梅田良子さんは
この本の企画を進める中で、ご両親を施設にいれ、見おくられました。
梅田さんのお父様、お母様にも、
この本を読んでいただきたかったなあ。

梅ちゃんは、20代のときから知っている
私が最もお付き合いが長い編集者です。
そんな梅ちゃんと、「おへそ」の創刊からデザインをしてくださっている
「なかよし図工室」の成澤夫妻と共にこの本を作れたことに本当に感謝しています。

ということで!!

大変急ですが、明日9月6日(金)20時より
梅ちゃんと一緒に、新刊発売に際してのインスタライブをいたします。

@ichidanoriko2024

@kurashi_to_oshare

のふたつのアカウントで配信します。
もしよかったら見てみてくださいね〜。

 

みなさま、今日もいい1日を〜


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