やっと「負けられる」お年頃になりました。

朝のウォーキング途中、ユキヤナギの小さな花が咲いているのを見つけました。
この時期から、白モクレンなど、白い花をよく目にするようになりますね。

さて。
先日発売になった、作家でエッセイストの大平一枝さんのご著書「人生フルーツサンド」(大和書房)
帯文を書かせていただきました。

この本は、大平さんが28年前から、いろいろな媒体に綴られてきたエッセイを1冊にまとめられたもの。
そんな昔からのエッセイをきちんと拾い上げて1冊にまとめられるとは、
なんて素晴らしいんだろう!
と、同じ文章を書いてきた人間として感動してしまいました。

私なんて、過去に書いたものは記憶の底に沈んでしまい、
常に前だけを見て走り続けている気がするから……。
自分のたどってきた道に、実った果実をちゃんと味わう。
それって、どうしても忘れがちだからこそ、大切なことだなあと改めて思いました。

そして、大平さんの過ごされたいろんな時代時代に書かれたものだからこそ、
そこには、子育て真っ只中の文章があり、
お子さんたちが大きくなってからのエピソードがあり、
引っ越し魔の大平さんが住んだいろんな家の話があり……。
暮らしや家事、住まい、仕事、家族、様々な要素が詰まっていて
まさにフルーツサンドのような一冊なのです。

実は、大平さんと知り合ったのは、ごく最近のことです。
ず〜〜っとお名前は存じ上げていたのですが……。

その始まりは、ひょんなこと。
去年、私がインスタを乗っ取られ、新たにアカウントを作って
ゼロから再出発する際に、
私自身もゼロからいろんな人をフォローし始めました。
今まで誰をフォローし、誰をフォローしていなかったかさえわからなかったのです。
で、その時に、大平さんをフォローさせていただいたら、
すぐに「祝・復活」というDMがきて、
その後メールでこの本の帯の依頼をいただいたのでした。

さらに、そこから「ご飯でもご一緒しましょう!」ということになり、
初めてお会いし、
あっという間に意気投合して、弾丸のようにしゃべりまくりました。(笑)

でも……。
ずっとお名前を存じ上げていた大平さんと、
こうして仲良くおしゃべりできたのは、
「今」だからこそなんだよなあと、しみじみ感じました。

というのも
実は、同業同士というのは、なかなか会う機会がなく、
私もライターやエッセイスト、文筆家の方とじっくり話をする、ということはめったにないのです。

そして、同業だからこそ、
ちょびっとライバル意識が働いたりと、
必要以上に意識してしまったり……。

私は、こっそりプライドが高いので、
もっと若い時期だったら、
「あの人に負けないもん!」と妙に張り合って、
自分を曝け出して話すことなんて、できなかっただろうなあと思います。

先日出かけた先で見つけた蕗のとう

 

でも、誰かと張り合ったり、競争したり、勝ち負けで判断するのではなく、
みんなで互いの持ち物を分け合って、
共に進めば、もっと豊かになれるし、もっと楽しい!
と切に思うようになったこのごろ。

この年齢になって、
やっと私は「負けられる」ようになった気がします。
だからこそ、
「大平さんになんて負けないわ」とか
「私の方がもっといい文章を書くわ」なんて
1ミリも思わずに、
大平さんのことが知りたいと思うし、
そのお仕事をリスペクトするし、
おいしいものでも食べながら、
あれこれ今までの経験を分け合って、おしゃべりを楽しみたいなあと
思えるようになった気がします。

 

そんな大平さんの新著の発売記念イベントに呼んでいただくことになりました。

下北沢の本屋B&Bでふたりでおしゃべりをする予定。
大平さんが考えてくださったテーマが

「私たちの失敗だらけの文章修行」

なんて、面白そうなタイトルでしょう!

ちょうど同じ時期に上京し、
どうやってライターになるかもわからずに、
ただがむしゃらに体当たりで仕事をしてきた私たち。

そんなお話ができたらと思います。
私自身も、大平さんのお話を聞くのが楽しみです!

3月14日(木)19時半〜21時半の予定です。
お申し込みはこちらから。

よかったら、遊びに来てくださいね〜。

みなさま、今日もいい1日を。


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