自分と闘わないということ

この時期の東京の日の出は6時頃。
5時半にウオーキングのために家を出る頃は、まだ夜が明けていなくて
それでも、真冬のように真っ暗ではなく、
しんとした青い空が広がっています。

しばらく歩いて、私が「夜明けポイント」と読んでいる、東の空が見通せる場所に来ると、こんな感じ。
空が赤く染まっていて美しいこと!
ああ、これだけで私は幸せだ! って思ってしまいます。

みなさま、いかがお過ごしですか?
イベントから戻って、私はやっぱり疲れていたようです。
でも、東京にいなかったので、帰ってからは取材がぎゅぎゅっと詰まって、
ゆっくり休んでもいられません。

若い頃なら、ささっと切り替えて、
再び全速力で走り出せたのに、そうもいかず、
帰った翌日、取材を終えて、果物を買いに行ったり、なくなった化粧品を買いに行ったりと
あちこちに寄っているだけで「あ〜、つかれた!」とぐったりしてしまいました。

そこで、昨日はちょっと早く帰れたので、
たっぷりと2時間お昼寝を。
そのほかにも、お灸をしたりと、お風呂に長めに浸かったりと、
セルフメンテナンスをして、やっと少し元気になってきました。

ヤフーニュースで流れてきた記事を読んでいたら、
草笛光子さんのインタビューがありました。
最近、90歳のお誕生日を迎えられたそうです。

その中にこんな言葉がありました。
「90歳と闘ったら損。
闘わないように受け入れて、90歳を大事に生きてみようと思います」。

なるほど〜!
闘わないということは、抗わない、ということ。
若い頃は、自分に抗うことで、自分のエンジンに点火してきました。
体をいじめることで、筋力を鍛えるように、
多少無理をして、「できない」と思うことにもチャレンジして、
自分の力を育ててきたんだよなあ〜。

その時期は、とても必要で、
あの頃頑張ってよかったなあと思います。
今、若い人が「がんばらないで、無理をしないで」と語っているのを聞くと
「おいおい、今がんばらないで大丈夫?」って、おばさんは思ってしまいます。

でも、ある程度の年齢になると、
自分に抗いすぎると、体を壊してしまう……。
ある時期から、人は、
「抗う」から「抗わない」へスイッチを切り替えるんじゃないかなあ。

ドラッグストアで買ってきた「せんねん灸」を常備しています。

若い頃は、もっともっとと、1日に仕事や用事を詰め込んで、
スケジュール帳に空白ができると不安だったけれど、
今は無理。
できれば、1日の用事は1件だけに。
そして、早めに家に帰って、お茶を飲んだり、おやつを食べたり。
だらだらしてからご飯を作り、
早めに寝て、サクッと起きて、朝仕事をする……。

そうやって、数を少なくする方が、ひとつひとつの仕事や遊びに
丁寧に向き合うことができて、
質があがるように思います。

先日、「これ、ちょっと気が進まないなあ」と思う仕事を
人付き合いの関係で引き受けました。
すると、気が重いのなんのって……。
途中でトラブルが起きたり、原稿がうまく書けなかったり。
ああ、やっぱりやめておけばおかったと深く後悔……。

数を少なくするということは、自分がイヤなこと、無理なことはやらないと決めるということ。
いやいやながらやるものは、時間がかかるし、自分を消耗します。
それをやめることで、他の「やりたいこと」にたっぷり時間を使えるし、
何より、イライラしたり、眉間に皺を寄せる回数が少なくなる……。

そうやって、自分の中の心地よい循環を作ることが、
結局は、「もっともっと」と欲張って手にしたものよりも、
多くのものを手にできる……
ということが、最近やっとわかってきました。

愛媛県から取り寄せているみかんが今年も始まりました。ビタミンCをしっかりとって。

 

私は欲張りなので、なかなか「もっともっとモード」から抜け出すことができなかったけれど、
体がそのやり方を教えてくれました。
人は、歳をとったら、自然に自分にあった歩き方に適応できるようになるのかもしれません。

なるべく自分と闘わないように……。
自分の状態を心地よくキープすることが、
周りの人に優しく接することができる第一歩かなと思います。
気をつけないとつい、若い頃と同じつもりで、「もっと!」と思っちゃうんですけどね……。笑

みなさま、今日もいい1日を。

 


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