ガラス屋さんが教えてくれた「微調整」の優しさ

東京は週末雨が降り、ずっとカラッカラだった空気がしっとりと潤いました。
今朝は、霧のような雨が少しだけ降っていたけれど、
エイッとウォーキングに。
モイスチャーな空気を浴びて、みずみずしく生まれ変わった気がしています(笑)

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
もう1月も半分が過ぎましたね〜。

先日、障子を張り替えた話を書きましたが、
実はその時、雪見障子の部分にはまっているガラスを割ってしまいました!
作業をするために、ガラスのはめ込み戸をはずそうとしたら、
木枠からガラスがはずれて落ちてしまい、バリッ。
あっ!と思ったときには手遅れでした。

 

さっそくネットで調べて近所のガラス屋さんに電話。
忙しいとこのことで、3日後にやっと来てくれました。

昔懐かしい、軽トラの後ろに、三角形の枠組みを組んでガラスをのせているあの車で!
部屋の中で作業をされるのかと思いきや、
割れたガラス戸を車に運び、
荷台のところで、新しいガラスを入れてくれるよう。

部屋で待っていると、30分ほどすると
「できました〜」と運んできてくれました。

ところが……。
我が家は古い家なので、建具も微妙に曲がっています。
なので、ガラスを入れた扉が、角は入るんだけれど、中央の部分がほんの数ミリのところで入らない……。
私も、自分で外したり、はめたりするときに、
なかなか入らず、マイナスドライバーを隙間に突っ込んで、ぎゅっと枠を持ち上げて入れていたのでした。
「もう、いいですよ。ぎゅっとむりやり持ち上げたら入りますから……」
って言おうとすると……。

おじさんは、「ちょっと待って」と、
またまた出て行ってしまいました。
しばらくすると、戻ってきてもう一度トライ!
すると、カチッと入った!

たぶん、ガラスの中央部分を少し削ってきてくれたのだと思います。
完璧を目指すプロのお仕事っぷりに感動してしまいました。

そして、こういう「微調整」を体験したのって、久しぶりだなあ〜と思ったのです。
なんでも「できあがったもの」を買って、
ちょっと不具合や、サイズが合わないことがあっても、
人間が「もの」に合わせて、どこかを我慢して、なんとか使い続けるのが当たり前……。

そんな中で、我が家だけの障子の枠に合わせて、
すこ〜し削ってくれる。
その「微調整」がなんだか、とっても嬉しかったのでした。

改めて、私の周りにある「微調整」を見直したくなりました。

ちゃちゃっと仕上げてしまういつものおかずも、最後にもう一度味見をして、
味を微調整する……。

「ああ、取り出しにくいよな〜」と思っている引き出しの中の順番を少し変えてみる。

生けた花の向きを、よりかわいく見えるよう調整する。

仕事の打ち合わせで、段取りを決めるだけでなく、
一緒に仕事をしている人が何を感じているかを知り、そこにちょっと寄り添う。

「微調整」って、面倒臭いのです。
やらなくても、すっ飛ばすことだってできる……。
大雑把な私には、この繊細さがないんだよなあ〜。

花の角度がこっちを向いていても、あっちを向いていても、
対して変化はないかもしれません。

でも、きっと「微調整」をすることで、変わるのは自分自身なんだろう……と思ったのでした。
「ちょっとずれてる」
「ちょっと違う」
「ちょっと心が離れている」
今年は、そんな「ちょっと」を大事にしてみるのもいいかもしれない……。

新年早々割ってしまったガラスに「なんてこった!」と思ったけれど、
ピシッとはまった障子戸が、新年のはじまりに
ほんのちょっとの「微調整」の優しさを教えてくれているような気がします。

 

 


一田憲子ブログ「日々のこと」一覧へ