父と母に学ぶ、ゆっくり生活

お正月三ヶ日、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

実家でのんびりするのも今日が最後。
私は、明日東京に戻る予定です。

何にも仕事をしていないのに、1日があっという間に過ぎていきます。
朝ごはんを食べたら、掃除をして、
駅伝を見たり、グダグダしているうちにすぐ昼になり
昼ごはんの準備をして器を洗ったら、ちょっと出かけたり、
母の手伝いをして押入れを整理したり。
そのうち夕方になって、晩ご飯の準備に取り掛かります。

ご飯が終わるたびに、親子3人でテレビを見ながらワハハと笑ったり、
火事のニュースに怖いねえと言いあったり、
あれこれ喋り、ハッと気づくと1〜2時間が経っています。
朝昼晩のご飯ごとに1時間以上。
これって、自宅ではありえないこと。
私のいつもの朝や昼ごはんは、15分ぐらいで終わっちゃいますから……。

時間があったら原稿を書こう、と持って帰ってきたのに、
そんな時間は全くありません。
あと何回お正月を一緒に過ごせるかわからない……。
と思うと、なるべく両親とちゃんと向き合って過ごしたい、と思うので
自分時間はおあずけです。

家族で暮らすってこういうことなんだなあと
いつもは気ままな二人暮らしなので、改めて感じています。
お子さんがいたり、家族が多いと、
「自分一人の時間が一番の贅沢」と取材のたびによく聞きますが
確かにその通りだなのですね。

父も母も昔のようにサッサか動けないので、
何をするにも時間がかかります。
しかも、びっくりするぐらい丁寧……。

お正月の主婦の役目は、おせち料理の管理なのですね。
お重の中のおかずが少なくなってきたら、
詰め替えたり、器に移して冷蔵庫に入れたり。

そんな時にも、私だったら、お煮しめをバサッと密閉容器にでも入れるだけ
なんでしょうが、母は絹さやだけを別に出し、
器に盛り付けてから、その絹さやを散らし、ラップをかける……。
「この方が、しまっておく姿がきれいでしょ」とご満悦です。

立っているとすぐ腰が痛くなるので、
「も〜、いいじゃん!」と言うのですが、
「こうしとかないと気持ち悪い」とおっしゃる……。

このほかにも、私が手伝っていると、
「電子ケトルは寝る前にお湯を全部捨てて、
中を乾いたクロスで拭いておいてね」とか、
あれこれウルサイ! 笑

父の役目はアイロンかけで、
テレビを見ながら、1時間以上かけてタオルにも、
自分のグンゼのパンツにも、アイロンをかけています。

そんな二人のペースに巻き込まれ、
私も、いつもより丁寧に器を洗ったり、片付けたり……。

こんなふうに毎日を過ごしていると、
昨夜ベッドに入って、
「は〜、今日も濃密な一日だったなあ」と自然に思うようになってきました。

 

私の普段の生活は、仕事が中心。
原稿を書いたり、取材に出かけたり。
バタバタしているついでに、ご飯を食べたり、掃除をしている気がします。
それはそれで楽しいし、私にはそのスピード感と
家事のいい加減さがあっているなあと思っています。

でも、時折こうやって、
「暮らす」ということに濃密に向き合ってみるのもいい……。

忙しく日々を送っていると
「はい、次!」
と早く先へ進むことばかりを考えてしまいます。
よっしゃ、掃除終わったから仕事しよ。
よっしゃ、ご飯出来上がり!
といった具合。

でも……。
昨夜、ベッドの中でいつもように文庫本を広げたら、
いつもより、読むペースがゆっくりになっていることに気づいて
自分でもびっくりしてしまいました。

一文、一言をゆっくりゆっくり。
シーンを思い浮かべながら、ページを繰って……。
そっか、いつものバタバタした暮らしに足りないのは、
「味わう」ってことなんだなあと思いました。

きっと、東京に戻れば、またドタバタ生活が始まるのだろうけれど、
時にはブレーキを踏んで、ゆっくりじっくり、
本を読んだり、作ったご飯を味わったり。
今年は、そんなメリハリをつけてみたいなあと思っています。

みなさんは、三ヶ日どんなことを考えられたのでしょうか?

 

今日もいい1日を!

 

 

 


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