私にとって「書く」ってどういうことなんだろう?

今日から4月ですね。
そして!!
暮らしを変える 書く力」(KADOKAWA) 本日発売です!
nutelさん作のおじさんが、営業部長に就任してくれました(笑)

 

私にとって「書く」ってどういうことなんだろう?
私は、このことを、まさにこの本を「書きながら」見つけていった気がします。
今まで、仕事の原稿や、この「日々のこと」や、SNSを無意識に書いてきて、
そこには、いったいどんなことが起こっていたのか…….

今日はその内容を、ちょっとだけ先出しでご紹介したいと思います。

素晴らしい写真は枦木功さん。
撮影は「好きに私の日常を切り取って!」とお願いしました。
いつもより、しんと静かな写真です。

 

「自分ごと」として読んでもらえる文章を書く

大事なのは、今目の前にあることから、ふわりと視線を上げてみること。
日常というものの上に、ぷかぷか浮かんでいる「真実」を見つけて言語化すれば、
個人の体験が、みんなが手を伸ばせば届く言葉になる。
今日のささいな体験が、あの人やこの人の生活ともつながる……。
その手応えを感じたとき、「ああ、書いていてよかったなあ」と思え、
その実感が次に書く力を育ててくれると思っています。

一歩引いて「すきま」がある文章を書く

文章のよさは、映像がないことです。
読む人は、自分で窓から差し込む光や、香ばしいコーヒーの匂いや、
ひんやりとした空気や、そこにいる人の表情、仕草などを、
想像力をフル回転させて読んでいきます。
つまり、「見えないものが見えてくる」文章とは、
読み手が自分を挿入できる「すきま」があるということでもあります。
「すきま」のある風通しのいい文章を書くコツは「私は」「私が」
という主語を極力少なくするということかなと思います。

絶対に「お願い」を聞き入れてほしいときこそ、本音で手紙を書く

「この号で、絶対この人を取材したい」と気合いを入れてお願いするときには、
手紙を書くことにしたのです。(中略)

有名な方や、その道のプロフェッショナルに対しては、つい自信がなくて、逃げ腰になり、
当たり障りのないことを書きがちです。
「自分が感じたことなんて、なんてちっぽけなんだろう」
「こんな感想書いて大丈夫かな」と思ってしまう。
でも、ここでいかに「自分を出す」かが、相手の胸に響く手紙になるかどうかの境目だと思うのです。
(中略)

経験が浅くて多少トンチンカンな文章でも、その誠意は伝わってくるもの。
自分にしか書けない手紙を書く。それが相手を口説き落とす最大の力になると思っています。

相手の言葉を聞くために自分が黙る

上質な聞き手が集まったとき、誰かがしゃべり、誰かに質問し、
また別の人が答えて、3人目の人がまた質問する、という成熟した会話が成り立ちます。
すると、その人の意外なルーツを知れたり、深い考え方に共感したり、
立場や仕事や家族構成は違うのに、実は同じことを考えていてうれしくなったり……。
自分が黙って、相手の語ることに耳を傾けてみる。
そんな意識を持つだけで、相手が与えてくれるものの量がぐんと増える気がします。

 

「書く」ことにそんなに興味がない人も
「書く」ことが苦手な人も、
みんなきっと「言葉」を使って生活していることと思います。

SNSで発信したり、メールや手紙を書いたり、
誰かと会話をするのも「言葉」が必要だし、
ワクワクと嬉しかったことも、どよ〜んと落ち込んだことも、
自分の周りに起こって「いったいこれはなに?」と思うことを理解するために「言葉」を使います。

ぼんやり考えていること、こうだったらいいな〜という思い……。
言葉は、そんな不確かなものを、きちんと目に見える存在に変える力を持っていると思います。

毎日、起きて、体操をし、フルーツを食べて、原稿を書き、
ご飯を食べて、時々テニスをして、友達とあって、
夫と晩ご飯を食べる……。
この本では、そんな私の日常の中で「言葉」=「書くこと」がどんな役割を果たしているかを書いてみました。

その思考のプロセスを読んでいただくことで、
「このごろなんだかつまらないな〜」とか
「ちょっと暮らしを変えてみたいな〜」と感じている人に
「書く」という方法があることを、知っていただくきっかけになればなと思っています。

手にとっていただければ嬉しいです。

みなさま、今日もいい1日を。

写真/枦木功

 


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