新しい「つながり方」が始まった!

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東京は朝から雨です。
我が家は古い家なので、家の中にいても雨粒の音が聞こえます。
ここが、私がこの家がいちばん好きな理由かもしれません。
雨の日は、静かに自分の中へ降りていく……。
そんな気分になりますね。

さて、Stay Home中だと、いろんなものが家に届きます。
宅配便の方々、本当にありがとうございます。
買い物に行けないので、通販でついあれこれ買ってしまったり……。
さらには、嬉しい贈り物も。

昨日は、コモロチャヤの美香さんからお手紙が届きました。
ブログで一歩も自宅から出ていないという言葉を読んでくださって、
「いつでも会えたり、お茶をしにいらしてくださっていた時が、温かいものに感じて……」
と書いてくださっていました。
う〜ん、嬉しかったなあ〜。
ご自身がお店がテイクアウトしかできなくて、大変でしょうに、
こうして人を気遣ってくださる……。
今回の騒動は本当に厳しいけれど、見えない「つながり」が、
あっちにも、こっちにもある………と気づくことができて、
それだけは本当によかったなあと思います。

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先日、「暮らしのおへそ」でも以前取材させていただいた、医師の稲葉俊郎さんが、
今回の騒動からこんな分析を書いていらっしゃいました。

「村上春樹さんが、ねじまき鳥という長大な物語で紡いだような『壁抜け』のような
つながりの時代になるのではと思います。
(中略)
周囲の力を借りながら、いろいろな苦難を乗り越え、自身の深い存在の源に降り立った時
(深い井戸に降りた時)、そこでふっと壁を抜け、時代を超えてつながる場所がある。
(中略)
表面的には一時的に『つながる』ことができなくても、むしろできないからこそ、
真の『つながり』があぶり出されてくる時間のような気がしてます」

以前から、ここにもよく書いていますが、
私は「明るく閉じている」性格なので、ずっと人とつながることが苦手でした。
でも、今の状況で、そんなこと言ってる場合じゃない!
と感じています。
結局「つながることが苦手」と言っている私は「え〜かっこし〜」だったんだなあ。
人は本当に弱ったとき、はじめて自分の無力さを知り、「助けて」と手を出すことができる。
そうできてこそ、「助けて」と言っている人の声が聞こえて、手を差し伸べることができる。
そんな「つながり方」を改めて考えてみようと思っています。

そんなとき、この本を読みました。
「クラシコム」の青木耕平さんが、この方のインタビュー記事をシェアされていて、
すごく面白かったので、本を買ってみました。

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いや〜、面白かったなあ。
柴田陽子さんは、ブランドプロデューサーとして、コーポレートブランディングや店舗プロデュース、
商品開発などのコンサルティング業務を請け負っている方。
ローソン「Uchi cafe Sweets」や、渋谷ヒカリエなど、私たちが聞いたことがあるモノや空間の
ブランディングを数多く手がけられています。

なぜ、名だたる企業のトップが続々柴田さんを指名するのか。
その「勝者の思考回路」について綴った1冊です。

なんだか、熱量の高いタイトルですが、まず「勝者」とは何か?
という柴田さんの分析が面白い!

「私にとっての『勝者』とは、ビジネスのトップリーダーになることでもなく、
売り上げを圧倒的に上げることでも、年収を数倍にすることでもありません。

常に自分自身が高い志を持っていることができる。周りを見れば味方が多く、応援してもらえる。
そして、誰かの役にたつという充実感の中で生きている。
すなわち『自分』『仲間』『社会』のすべてにおいて『YES』と答えられる人のことを、
私は『勝者』と定義しています」

なるほど〜。
そして、読み進めるうちに、私はこの3つのうちに『自分』だけにしか興味がなく、
いかに『仲間』や『社会』に対しての意識が低かったかを思い知らされたのでした。
「誰か」に対する思い方が、圧倒的に足りなかった……。

小さなことに”すべて”が宿る。
とおっしゃる柴田さん。

メールで、いつもより「!」の数が少なかったら、「どうしたかな?」と考えるといいますから
その気遣いの細やかさはすごい!

「人生のあらゆる場面において「他人事も自分事」を増やしていくことで、その人の人生は
大きく豊かに広がっていくはずです。
(中略)
『大丈夫?』『何か手伝おうか?』こんな一言をいろんな人にかけていいと思うのです」

たくさん線を引きながら読んだ1冊で、
仕事に対する回路の作り方は、目からウロコのことばかりでした。
もし、この状況になる前なら、もっと仕事のことにフォーカスして読んだと思います。
でも、今だから、周りの人たちとの関わり方が、何より勉強になりました。

一人勝ちしたって、何にもいいことない。
誰かが喜んでくれるように……。
そんな小さくて強い視点を持ちたいと思うこのごろです。

私が先日、この「日々のこと」の中で、
自著「暮らしの中に終わりと始まりをつくる」が発売になったけれど、
東京では、大型書店がほとんどクローズで、自分の本が本屋さんに並んでいる姿を
見ることができない……と書いたら、
北海道にお住まいの方がこんな写真を送ってくださいました。

「こんな遠くにも本が届いていますよ」って。

もう、私はこの写真を見て泣きました……。
本当にありがとうございます。

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長くなりました。
みなさま、新しい1週間がまた始まります。
どうぞお気をつけて、笑顔でお過ごしください。


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