生活って、なんてたくさんのことをやらなくちゃいけないんだろう。とマウイから戻って思う

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Aloha~!
ハワイから帰国いたしました。
あ〜、リフレッシュしたなあ。心をマウイの海でザブザブ洗濯してきた気分です。

帰ってからは、スーツケースをあけて、
洗濯祭りをし、干して取り込んだらたたんでしまい。
うっすら埃が積もっている気がする部屋の窓を全開にして掃除をしたり。

滞っていた仕事の返事をしたり、
留守中、ろぼ農園さんから届いていた文旦を慌てて剥いて、皮を刻んでジャムを作ったり。
帰ったら満開になっていた庭のクリスマスローズを切って、部屋に生けたり。
そうこうしていたら夕飯の時間になって、買い物に行ってご飯を作り。

は〜。いきなりフル回転。
生活するって、なんてたくさんのことをやらなくちゃいけないんだろう……。
と、「食っちゃ寝生活」だった、マウイの日々を遠い目で思い出していたりしたのでした。

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その時、ふと帰りの飛行機の中で見た映画を思い出しました。
1997年にマット・デイモン主演で公開された「グッド・ウィル・ハンティング」です。
本当はすご〜く有名なこの映画のこと、はずかしながら、私はまったく知りませんでした。
当時無名だったマット・デイモンが、ベン・アフレックと共同で脚本を書き、
なんとアカデミー賞を受賞したというすごい作品です。

この映画の台詞が本当に身にしみるんです。
マウイで洗濯した私の心の吸収率がアップしていた、ということもあるのですが、
飛行機の中で、私は号泣しながら見たのでした。

マット・デイモン演じるウィルは、貧しい家に生まれ、親から虐待され、心を閉じた青年。
ただし、驚くほどの頭脳を持ち、大学の掃除をしながら、黒板に書かれた誰も解けない数式を解いたり
警官に捕まれば、遥か昔の判例を暗記して論破し釈放され……。

そんなウィルの心を開こうとするのが、ロビン・ウィリアムズ演じる心理学者のショーン。

あまりにショーンの言葉がよくて、帰ってからネットで名言集を探してメモをしました。

「君は子供だ。
自分の言っていることの意味すらわかっていない。
美術についてと絵は、本から得た知識を並べ立てるだろう。
だが君には、システィナ礼拝堂の匂いは語れない。
そこに立ってあの美しい天井を見上げたことはない」

知識だけは豊富に持っているウィルに、ショーンは経験によってしか得られない
匂いについて、音について、隣に寝る妻の体温について語ります。

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経験によって、その人の中に蓄積されたものって、なんて素晴らしいんだろう。
この台詞によって、改めて気づかされました。

だとすれば、私がくるくる動き回って掃除をした後の清々しい空気や
ジャムを煮たときに、部屋中に広がる甘酸っぱい匂いや、
クリスマスロースの葉っぱにたまった水滴の冷たさは、
きっと私の中に積もっていくはず……。

シェーンはこんな風にも語っていました。
「妻はね、寝ているときになぜかオナラをしたんだ。
妻が死んで2年がたった。
でもこんなくだらないことを覚えている。
こんなくだらないことが恋しい」。

マウイで聞いた波の音と、今家で聞く洗濯機が回る音は、
どちらも私の宝物なのだと思う朝です。

 

今日は東京は1日雨のようです。
みなさま、いい1日を。


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