ビジネスピープルからの贈り物

ビジネスを大きくする時に必要なのは、筋力=資力です。パーマネントエイジ 林行雄さん、多佳子さん vol4

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兵庫県西宮市で、セレクトショップ「パーマネントエイジ」を営む
林行雄さんと多佳子さんにビジネスのお話を伺っています。

vol3では、独立してブランドを立ち上げ、
「イショナル」という伝説の店を展開するお話を伺いました。

 

 

ところが……。

 

行雄さん:
「僕の失敗は、急激に会社を大きくし過ぎたことです。
皮膚感覚では売れているのに、
経営がしんどいな、という時期がくるんです。
どうしてもお金が先行して出て行くので、だんだん回らなくなってくる。
それで銀行にお金を借りに行くんですが、
そうすると当然ながら、毎月きっちり返していかないといけない。
でも、売り上げが毎月入るとは限らないんですよ。
今みんなが聞いて知っている大手のセレクトショップでさえ
『ちょっと支払いを待ってください』なんていう月があるんですよ。
もう頭を抱えましたね」。

多佳子さん:
「売れているのに、お金のプールってなかなかできない。
だから一歩間違えば、黒字倒産になります。
赤字ではないんですよ。オーダーが全部入っているんですから」

 

 

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行雄さん:
『素材の方が先に必要だから、支払いが追いつかないんですよね。
製品を売って回収するのは、当然後のことなので。
もうギリギリのところで回っていました。
これは難しいな……。これ以上やると大きな事故を起こすな、と思い始めた時に
とある会社が、うちが作るものを『面白い!』と気に入ってくれた。
そこで、資金面でバックアップしてもらうことにしたんです」

この決断が、のちに行雄さんを苦しめることになります。

行雄さん:
「お金を出してもらうと、自分が思うようにできなくなる。
自分の『思い』と、会社が動きだす方向がずれてくるんです。
そして、会社と自分は別のものだ、ということがはっきりわかってきました。
最初は、良くも悪くも、会社=僕だったんです。
でも、次第に会社が一人歩きするようになる。
あれ?思うようにいかないぞ、っていう時期が必ずくる。
本来なら、会社規模、自分の能力、自分の性分も含めて、
『ちょうどこのくらい』というところで抑えないといけないんですけど、
バブルの時期なので、ついつい突っ走ってしまったんです。
この経験を経て、僕が学んだことは、
お店でも会社でも、『自分のお金でやっていける範囲を超えてはいけない』
ということです。
商売は、自分の手の中の範囲でやるべきだということ」

自分の意図と違う方向へと会社が進み始めたとき
行雄さんは、自分が育ててきた「イショナル」を離れざると得なくなりました。
どんな思いで、自分の会社を出られたかと思うと、胸がキュンと詰まります。

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行雄さん:
「潰れた会社って、水ぶくれみたいに大きくなってはいるものの
筋力がないんですよね。
筋力とは資力です。
会社を支えるための、現金や不動産、もちろん人材や信頼も。
だから、会社は一気に伸びるとおかしくなるんです」

一気に伸びながら、筋力を蓄えるためには、どうしたらいいのでしょう?と聞いてみました。

行雄さん:
『その方法はないと思いますね。
もし、会社が大きくなりすぎることを回避したいなら、
できるだけ売上を計画的に、ステップ式にするんです。
そして、まずは無理をしても借金も返してしまう。
一旦ステップをフラットな状態に戻す、ということです。
そして、平らになったら、もう一度頑張って次の階段を登る。

このステップを踏まずに、『売れました』『新たなお店出します』『借金します』と
どんどん進んでしまうと、
会社を大きくしているけれど、気がつくと借り入れもそれに比例して大きくなるし、
経費もかかるし、負担も大きくなります。
大きくなることで、ビジネスの醍醐味を味わうことはできるけれど、
リスクも大きくなる。
この状態はあかん、と僕は思うんです」

 

そして、今ビジネスを始めようとしている人に、
行雄さんはこんな風に話をするそうです。

行雄さん:
「『お前、お金貯めてるか?』とよく言います。
つまり、筋力がついているか?ってこと。
独立しても、気がついたらやりたくないことをやっている、っていう人って、結構多いんです。
だから、お前大丈夫か? お金はあるか? 現金貯めてるか?って」

多佳子さん:
「今はネット販売もあるから、これから先変わってくるかもしれませんけど、
オープンして、当初それが売れなくても、次の仕入れができるほどのお金がないと厳しいですね。
今これを売って、そのお金で次のオーダーをする、
というのでは、気持ちに余裕がなくなって難しいですから」

 

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こうして、50歳の時「イショナル」を辞めた行雄さんは、
今度は「小さな店のオヤジになろう」と決め、
「パーマネントエイジ」をオープンさせたというわけです。
さぞかし傷心の中の出来事だったかと思いきや……。

行雄:
「いや〜、めちゃくちゃ面白かったですよ。
自分の自由に好きなことができるから、
洋服と一緒に雑貨や、イタリアからはバルサミコまで仕入れてね。
おもちゃ箱をひっくり返したような、楽しくてわくわくする店だったと思います」

 

お二人と接していていつも感じるのは、
「今」を楽しむ力の強さです。
行雄さんは「小さな店のオヤジ」をとことん楽しみ
多佳子さんはいつも「今が一番楽しい! 私ね、今日死んでも後悔ないの」と言われてびっくり!

いつも将来の心配や、過去の後悔ばかりしている私は、
お二人の姿を見るたびに
「そうか、今この時を楽しんじゃえばいいんだ!」と教えていただきます。

 

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次回はいよいよ「パーマネントエイジ」のビジネスについて伺います。

 

 

 

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