ビジネスピープルからの贈り物

コロモチャヤ 中臣幸次さん美香さん最終回

吉祥寺のカフェ&セレクトショップ「コロモチャヤ」オーナーの中臣幸次さんと美香さんに
ビジネスについてのお話を聞いています。

 

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これまで、幸次さんのコンサルタントの仕事についてお話を伺ってきました。

最後に、幸次さんと美香さんが二人で立ち上げられた「コロモチャヤ」について、
聞いてみました。

今、「コロモチャヤ」では、
セレクトショップでは、美香さんがオリジナルの洋服を作り、
カフェでは、メニューを決めて、スタッフと一緒にスイーツやランチを作っています。
つまり、「やりたいこと」の種を自分のポケットから出して
土に植えるのが美香さんの役目。

それがどうやったら大きく育つか、風除けを作ったり、日当たりがいいように向きを変えたりと
環境と整え、ビジネス面からサポートをするのが中臣さんの役目です。

「オープンにあたって、まずは場所を探しました。
美香さんの感覚だったら、路面店じゃなくて、わざわざ来てもらう場所がいいなとイメージして、
カフェだったら15坪くらいかなと考えました。
そうしら、途中から美香さんが急に『やっぱり洋服もやりたい』って言い出して(笑)。
それなら25坪ぐらいはなくちゃと変更して……」と中臣さん。

 

その辺りは「やりたいこと」はとてもよく聞き入れてくれるんですね?
と美香さんに聞いてみました。

 

「大幅にずれていなければ、良しとしてくれますね。
でも、「やり方」とか「向かい方」にはすごくあれこれ言われます」と美香さん。

 

「わざわざ来てもらえる店がいいよね、
だったらちょっとわかりづらい方がいいよね
でも、駅から遠いのは嫌だよね、
と考えて、見つけたのが今の場所でした。
古いビルの2階に上がってみたら、そこに違う世界があった、
みたいな場所が良かったんですよね」と中臣さん

 

コロモチャヤは吉祥寺の駅から徒歩5分ほど。
古いビルの2階にあります。
私は、オープンして3年も経っていたのに知らなくて、
初めて階段を上がり、扉を開けた時には驚きました!

 

当時作ったという、お店のイメージマップを見せていただきました。
そこには、美香さんが大好きだというパン屋さんの写真や、インテリアのパーツ、家具など、
様々な写真がスクラップされていました。

 

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「こういうふうにしたいんだよね、と言っても
私の考える範囲だと、点で終わっていて、その横が線として繋がっていなかったりするんですよね。
『じゃあ、これはどうするの?』って言うことを
中臣が気づかせてくれるんです」と美香さん。

 

今年でオープンして4年目。

「最初は全然うまくいっていなかったんです。
でも、僕には作戦がありました。
1年目は、美香さんがやろうとしているシャツ、紅茶、タルト、
この3つのメインカテゴリーをお客様に認めてもらえるのか、
ということをテストする1年。
だから、美香さんが、タルトはこのお皿にのせたい、と言ったら、
それが作家さんの作った高い器でも全部受け入れました。
彼女がやりたいことは、本当に伝わるのか、と言うテストのために……。
1年目はとんでもなく赤字が出ても、
これが正しいかを確認する時間にするって決めたんです」

 

実は、私が初めて「コロモチャヤ」に行ったとき、
何より感動したのが、そのお皿でした。
普通のケーキ皿より一回り大きくて、シンプルなのに、手の温もりがどこかに残っている……。
わあ、この器を選ぶ人のセンスって、大好き!と思ったのです。

きっと、私のように感じて、「コロモチャヤって、ちょっと違う!」と感じた人はたくさんいたはず。

 

「2年目は、そのメインの3つをちゃんとカテゴリーとして育てましょう、と言う1年。
紅茶は種類を増やす。
タルトもバリエーションを作る。
そうやってカテゴリーにしていくと、お店の主張がしっかりするんです。

3年目は開発に力を入れました。
新しいメニューを生むとか、
丸い襟のシャツを作るとか。

そして、4年目の今年は、
『どこかが変わった』と思ってもらうこと。
まずは、キッチンをオープンにしました。

コロモチャヤのコンセプトは
1、スタンダード
2、ひと手間をかける
3、シーズン=季節感

の3つです。

コップは1個1個手で洗うし、紅茶も1杯1杯入れるし
りんごタルトなら、生のリンゴを切ってのせて焼く、というのが一般的ですが、
うちでは、リンゴをバターときび砂糖でソテーして、
糖度と水分量を調整してから、タルト生地にのせて焼くんです。
つまり、どれも1〜2行程多い。
それをわかっていただけるよう、
スタッフが今、何をしているかが見えるように
キッチンを改造してオープンにしたんです」と中臣さん。

 

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「コロモチャヤ」オープンの時に作ったという
『corm-cya-yaスタイルとは」というレジュメを見せていただきました。
1ページ目には
『大切なお客様を自宅にお招きおもてなしをする」
と書いてあります。

 

中には、
「お客様が来られたら、門まで1人がお迎えに出る」
とか
「キッチンなどの道具類はディスプレイのように整理されている」
とか
「お客様には、目を閉じて、今日の幸せな時を思い出しながら眠りに入っていただく」

など、
とても具体的な項目が並んでいました。

 

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「こういうレジュメを作りながら、お客様が楽しそうにしていらっしゃる姿を
頭の中いっぱいに思い浮かべるんです。
お客さまが満足してくださっているかどうか……。
それが数字に結びついてきますから。

そして、何をもって満足するかをちゃんと際立たせることが大事。

『コロモチャヤ』がその魅力としてもっていなくてはいけないことを考えて見ると……。
世の中は、絶えず変化しています。
だから、みんな疲れてしまいます。
そんな中で『コロモチャヤ』は、
変化しないで、いかに進化し続けるかが一番大事だと思っている。

だからシャツと言ったらずっとシャツをやり続けます。
その代わり、今年は1センチ襟が小さくなりました、
のように進化をするんです」と中臣さん。

 

なるほど〜!と思いました。
変化と進化は違う……。
いつ訪ねても変わらぬ空気にホッとして、
どこかに新しい風が吹いているのを感じる。
その進化は、気をつけていないとわからないぐらい小さなものなのかもしれません。
でも、だからこそみんなが「コロモチャヤ」に行きたくなる……。

 

基本的には自分が作りたいものを作る、という美香さん。
「でも、無意識に進化している、と思いたいですね。
でも、正直いうと、私はまだそこまで到達できていないんです。
やりたいことがいっぱいあって、
まずは、それを自分の中でやりきりたい。
まだ、出し切るまでできていないので。
進化はそこからまだ先の話だと思うんです」と語ります。

 

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今回、中臣さんも美香さんも、
コンサルテイングの仕事のことから、「コロモチャヤ」の経営のことまで、
本当に正直に、細やかに語ってくださいました。

そこに私が感じたのは、お二人の誠実さです。
まっすぐに仕事を見つめ、お客様のためになることを一生懸命見つける。
カフェで、自分たちができることを、まっすぐに考える。
互いに、互いのスキルを尊敬し、前を向かって力強く歩く……。
ビジネスというと、私には、なんだか「出し抜いて儲ける」とか、
腹黒いものがあって当然、という先入観がありました。
でも、正しいビジネスの姿には、矛盾がなく、クリアな目標がきちんとあり、
そこへ向かって進んでいく人は、限りなくピュアなんだな……と思ったのです。

これから、「コロモチャヤ」に行くたびに、小さな進化を体験するのが楽しみになりました。

 

 

 

 

撮影/近藤沙菜

 

 

 

 

 

 

 

 

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