まだ起こらないことを心配したって仕方がない!

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この連載「もっと早く言ってよ!」は、ずっと前から知っている、と思っていたことなのに、この年齢になって「あ、そうか!」とやっとわかったきがする体験を、50代の私が、20代だった私に伝えるつもりで綴っています。

 

今年も残すところ1か月を切りました。この季節、楽しみにしているのがテレビでフィギュアスケートを見ること。この週末もグランプリファイナルを固唾を飲んで見守りました。ノリコさん、私いつも思うんだけど、おそらく、出場している全員の選手が、血のにじむような努力をし「これ以上無理」というところまで練習しているのでしょうに、見事にジャンプを決められる人と、転んでしまう人がいるのはどうしてなんだろうね。 本番で成功するのと失敗する差を生むのは、一体何なのだろう?

 

そして、このフィギュアスケートを見るたびに、私は中高大学生時代に軟式テニス部だったノリコさんの姿を思い出します。ノリコさんは、練習は抜群にうまかったのに、試合になるとビビリンボで、いつも実力を出せずに終わっていたよね。練習ではボレーはバシッと決まり、スマッシュはパコ〜ンとコートに突き刺さり、レシーブはサイドラインギリギリに入っていたのに、試合になると、一歩スタートが遅れてボレーは手が届かず、思い切ってラケットを振り切れないから、スマッシュはホームランになり、恐る恐る打ち返すから、レシーブはネットを越えない……。
ねえ、ノリコさんは、いつも試合になると「失敗したらどうしよう」「負けたらどうしよう」「レシーブ入らなかったらどうしよう」って、「どうしよう」ばかりを繰り返し考えていたよね。その気持ちはよ〜くわかる。
でもね、今振り返ると、どうしてあの時、もっと試合を楽しまなかったんだろう、って思うの。負けたって仕方ないじゃない。失敗したってまた練習すればよかったじゃない。

あのフィギュアの選手たちも、多くの中から選ばれて、あのリンクに立てるだけで、キラキラ輝いて、すごく幸せなことなんだよね。だったらその舞台を思いっきり楽しまなくちゃソンだなあって思うんです。もちろん、プレッシャーは半端ないと思うけれど、ほんの一握りの人しか体験できない舞台に立っていることを、感謝し、ワクワク楽しむことが、「今」という一瞬の幸せを取り逃さない生き方なんじゃないかなあって。ピリピリとした緊張感の中にいる選手の姿を見るにつれ、自分に置き換えてそんなことを考えます。

 

ノリコさんのあのビビリンボは、50歳になった私もず〜っと引きずっていて、今、好きな仕事ができてハッピーなはずなのに、「これがずっと続くはずはない」とか、「もっと歳をとって仕事がなくなったらどうしよう」と、まだ起こっていないことばかりを心配したりします。
でも、「それってもったいないんじゃない?」って最近やっと思うようになりました。未来のことを心配したって、何の解決にもならない。不安がって、眉間にしわを寄せて過ごすより、今日、ワクワク仕事をして、「おいしいね〜」とご飯を食べ、お笑い番組をみて「ワハハ」と笑えればそれでいいのかも。
ビビリンボをそろそろ卒業したいなと思うこの頃です。

 

 

 

 


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