人と同じじゃなくていい。人と違うことを探すならダサくたっていい。

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ねえねえノリコさん。
就職したものの、なんとなく毎日がつまらないんだよねえ? あのね、30年後の私は、いろんな人と出会ったよ。高校卒業後に、専門学校に行って、スタイリストとして雑誌でそれはそれは素敵な仕事をしている人もいたし、働きながらお金をためてはフランスに行って、そこで暮らしながらお菓子の学校へ通った人もいた。ノリコさんの周りには、きっと同じような人種しかいないと思うんだけど、世の中には、いろんな道を選んだ人がいる。それは、全然「特別」なことじゃないし、異次元の物語でもないよ。ノリコさんが、毎日会社に行き来している、すぐ横にそんな人生もある。見えないけど。400メートルハードルの日本記録保持者で、3度のオリンピックに出場した為末大さんという人が、こんなことを言ってた。

「今の人生」の横に走っている「別の人生」がある。それに気づけばもっとラクに生きられるはず。

いろんな人と出会う中で、私が知ったのは、「人と違っていい」ってこと。もっと早く言ってよ〜!だよねえ。 だってノリコさんの年齢のころ、私は、人生にはなんとなくの「正解」があって、そこへ向かって歩いていく人たちと、おんなじように歩調を合わせなくちゃ、って思ってた。ノリコさん、優等生だもんねえ。人と同じ道から外れるのは怖いよね。でもね、心の底で「私だって、私らしく生きていきたい」って思っているでしょう? あのね、私も最近やっとわかったんだけど、「私らしく」ってことと「人と違う」ってことはイコールなのよ。人とおんなじことをやるなら、いつまでも誰かの人生をなぞる生き方しかできない。人と違うことを見つけて磨いて、やっとそれが「個性」という形で輝く……。そんなことが50歳を過ぎてやっとわかったよ。ずいぶん時間かかっちゃったなあ。

でも、人と違うことをやるって、怖いんだよね。お手本がないから失敗するかもしれないし、人にどんなふうに評価されるかちょっぴり心配だし。失敗や人の目なんて気にしなくていい!っていうけれど、やっぱり不安だし。そんなとき、一番の味方になってくれるのは、それが「好き」っていう気持ちだと思う。私もこの「外の音、内の香」を始める時、たった一人でウェブサイトを立ち上げるなんて、更新どうするのよ? マネタイズどうするのよ? ってわからないことだらけだった。でも、たった一つ「書く」ってことが好きだから、こうして続けていられるんだと思う。ねえ、ノリコさんは今何が好き? そう聞かれたノリコさんの心が透けて見えるよ。「これが好きって言う私ってどうよ?」って思っちゃうんでしょう? 自分の「好き」さえ、人の目を意識してしまう。20歳の私もそうだったなあ。あのね、「好き」ってダサければダサいほど面白いんだよ。だって、ダサいことなんて、誰も思いつかないもの。あのね、ノリコさんがもう少し生きていけば、漫画が大好きなオタクが世界的なアーティストになったり、コンピューターおたくの少年がAIの第一線で活躍したりするはずだよ。あ! でも、何もビッグなことをやるのが目標じゃない。結婚して主婦になって、普通の暮らしを送るのも幸せだよね。そんな時は、あの人と同じように掃除をちゃんとやらなくてもいいし、この人と同じような器を買って素敵な食卓を作らなくてもいい。1日の過ごし方だって「人と違う」ことを見つけて、自分らしく暮らしを構築していったらすごく楽しいと思う。

だから探してみて、人と違うこと。最初は誰もやっていないことをやるって、心がす〜す〜するかもしれないけれど、なんにもわからないからこそ、わかっていく過程で発見すること全てが、ノリコさんの力となって蓄えられると思う。そしてそれを「こんなこと楽しいよ」って人に伝えるプロセスも、自分らしさを育てる糧になると思う。私もちょっと遅いけれど、「人と違うこと」見つけてみようと思っています。


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