母娘ふたりロードトリップ5 自分を開いたら出会えた高松での感動

 

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運転が苦手な私が、思い切ってチャレンジした、長野から愛媛を目指す母娘ふたりロードトリップ。
前回の記事を書いてから時間が空いてしまったのですが、一田さんがこ自身のことを「明るく閉じている」と表現されていたのを拝見し、私もそういうところがあるなあと、このロードトリップでのある出来事を思い出し、この5話目を書いています。

前回、後ろ髪を引かれながらも瀬戸大橋を渡り、ついに四国に上陸した私と娘。

「次の目的地は高松だなあ」とぼんやり考えていた私の頭の中に浮かんだのは、高松に住む知人でした。その方とは、以前愛媛の友人宅に滞在した時にお会いしたことがあり、とは言えそれほど多くの言葉を交わしたわけではない関係。せっかく高松に行くのだから、少し会っておしゃべりをしたい気もする。地元の方のオススメのお店も聞いてみたい。でも、1度しか会ったことのない人間が高松に来たからといって連絡しても迷惑なんじゃないか…。と、しばらく逡巡しました。

もともと私は、なんでも一人でやって来たタイプ。子供の頃から自立心が強く、両親にもいつも事後報告をしてきました。その分、人に甘えることが上手にできずにいたんです。「人に頼ることができない」と言うことは、ある意味「相手のことを信頼していない」と言うことでもあると数年前に知り、それから少しずつ人に頼ることを練習して来たところでした。

悩んだ挙句、高知に住む知人に連絡をしてみることにしました。これまでの私だったら絶対にしていません。
するとすぐに返信をくれ、ランチにオススメのお店を紹介してくれ、仕事の休憩時間にそのお店に顔を出してくれると言うのです。なーんだ、簡単なことだった!(こんなこと、当たり前にやってる人にとったらバカみたいなんでしょうね。)

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ほっとしながら軽い気分でお店に行くと、美味しそうなキッシュが並んでいます。自分と娘用にひとつずつ選びレジへ。すると店員さんが、「お金は〇〇さんからいただいてますから結構です。」と言うのです。これにはびっくり!先回りしてお支払いの算段をつけてくださってたのです。娘とふたりで毎日少しドキドキしながら進んできた私は、感動で胸がいっぱいになりました。

その後遅れてお店に来た知人とおしゃべりをし(この日から私の中で知人ではなく友達になったわけですが)、私が好きそうだからと紹介してくれた予約制の古本屋さんを予約してくれ、2日間の高松での旅のプランを一緒に考えてくれました。この善意がどれだけ嬉しかったか…!

この日からあっという間に数年が経ち、人に対して自分を開く練習を重ねた私はだいぶ身軽になりました。放浪しているのを知っている日本全国の友人が自宅に招いてくれるほどになり、昨年は娘とふたりでフランス・ニースの友人宅に滞在もしました。色々な経験をして今思うのは、誰かを訪ねると言うのはその相手に喜んでもらえる可能性が高いと言うこと。この高松の知人(改め友人)も「みゆきちゃんに会えてほんとよかったよ!普通じゃ一生会うはずのない人とこんなピンポイントで会えるのは奇跡だよ。」と言ってくれたんです。

自分を開くと言うのは怖く感じることもあります。自分の柔らかい部分を見せて傷つくことがあったら、もう立ち直れない気がする。今でも閉じておいたほうが楽かしら、なんて思うこともあります。でも、心を開いたからこそ見える景色の方が、閉じたままに見つめる世界よりずっと感動的で楽しいセレンディピティに出会えると、今はそう感じています。

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