先日、オカズデザインの吉岡秀治さん、知子さんが主宰されている器と料理の店「カモシカ」が新しくなった、と聞いて出かけました。
リニューアルオープン最初の企画は、坂野友紀さん。
大雨の中たどり着いた新しい場所は、本当に素晴らしくて、
ずっとそこにいたくなりました。
坂野さんの器でいただいたティラミス、美しくて、大人の味で、美味しかったな〜!
そして、最後の1個だったバターケースをいただいて帰りました。
それが上の写真。
バターが大好きだという坂野さんが作られたバターケース。
200gのバターがちょうど入るサイズだそうです。
「八月の水」という冊子に坂野さんがご自身のものづくりについて綴られていて、
それがしみじみと胸に響きました。
金属で「温かい、やわらかい、軽い」ものづくりをされている坂野さん、
「少々切りすぎてもたたいてのばせて溶接でもくっつけられる素材。
それは、不器用でプレッシャーに弱い私にとても安心感を与えてくれる」
と綴られています。
坂野さんは本当に自分に正直な方で、自分をごまかして、うまくやる、
ということができない方。
純粋で、背筋がすっと伸び、
強いようで、ちゃんと「できないこと」もわかっていて、
弱さもある……。
私は、坂野さんに会うたびに、「本当のことってなんだっけ?」
と立ち止まる機会を与えられている気がします。
そして、今回坂野さんが書かれた最後の文章に私は大きな衝撃を受けたのでした。
「自然な流れで好きなことを『仕事』にできて、とても幸運だと思う。
けれど、いつこの『仕事』がなくなってもおかしくないと思っている。
近年やっとそれを『不安』でなく『覚悟』に変えられそうに
なってきたと思う」(八月の水 5より)
誰もが進んでいくことに「不安」で、自信を持てなくて、オロオロする……。
でも、時を重ねてどんなに不安でも、それが好きならば
なんとか続けていく自分を発見した時、
「不安」は「覚悟」に変えられる。
もしかしたら、覚悟は「不安」があるからこそ、するものなのかも。
不安を秘めているからこそ、腹を括った時、
その不安が強く自分を支えてくれるのかもしれないなあと思ったのでした。
坂野さん、素晴らしい言葉をありがとうございます!
そしてこれからの「カモシカ」も楽しみです!