たったひとりに届ける確かさ

先日、小さな荷物が届いてあけてみたら……。
今注目の「ミャクミャクもなか」が入っていました。
かわいい〜!
このサイトの「ライターズマルシェ」で、以前「和菓子にまつわる小さなお話」を書いてくださっていた
西胤真澄さんから。
「おへそ20周年おめでとうございます」
とのこと。

大阪在住の西胤さんは、なんと万博に27回も通い、
ほぼすべてのパビリオンを制覇されたのだとか!

2015年発行の「暮らしのおへそ」19号でも取材をさせていただき、
私のライター塾の生徒さんでもあります。

中には小さなお手紙が入っていて、そこにはこんな風に綴られていました。
ご本人に承諾をいただき、ちょっとご紹介します。

「まだ自分にお金が使えない頃、
雑誌は立ち読みするのが日常でした。
ところが『暮らしのおへそ』は、字がいっぱいで、
とても立ち読みできず、
懸賞で当てた図書カードで自分のために雑誌を買いました。
それが私の『おへそ』デビュー。

あの頃、よくおへそを見つけたなー。
おかげで今の私がある様に思います。
生活、料理、旅、人、物……。
いろいろなことを学びました。
本当にありがと〜って言いたいです。

これから歳を重ねて生活も変化し、
また自分のためにお金を使えなくなる時が来るかもしれないけど
『おへそ』だけは、買おう〜〜」

私は、この手紙を読んで、
ミャクミャクもなかを手に号泣してしまいました。
なんてありがたいんでしょう……。

雑誌1冊1500円。
若い頃は、そのお金を捻り出すのも大変です。
歳をとり、年金生活になったら、また大変になるかもしれません。
そんな中、お財布を開けて、
「おへそ」を買って、読んでくださる……。

毎号「おへそ」を作っていると、
雑誌を出すことが当たり前になってしまって、
そうやって「お財布をあけて買う」という方がいらっしゃることを
忘れがちだなあと改めて反省しました。

そして、「たくさん売れますように」といつも思うけれど、
私は、「たくさんの人」に向けてではなく、
こうしておへそを愛してくださる、「たったひとり」の方の胸に届くように、
心を込めて1冊を作りたい、としみじみ思いました。

西胤さんを初めて「おへそ」で取材させていただいた19号。「30分掃除」を紹介しました。

 

西胤さんを初めて「おへそ」で取材させていただいたとき、
「毎日30分だけ掃除をする」という習慣をご紹介しました。
私は、これを機に、自分でも30分掃除を真似するようになりました。

そして……。
西胤さんは、掃除の習慣が暮らしに定着したとき、
お父様が亡くなった日にも
いつものように玄関を雑巾で拭いている自分を発見して
自分で自分に驚いたそうです。

無意識に手が動く……。
何が起こっても、どんな日でも、自分を支えてくれる習慣がある。
そんな「おへその力」を逆に教えられました。

「おへそ」=習慣って、ほんのささやかなものです。
でも、毎日毎日それを繰り返すことで、「その人」ができていく……。
誰かにとって、取るに足りないことが、
その人にとっては、欠かせない大事なルーティンになる……。

そんな小さなおへそをすくいあげ、
その人らしさと共に、これからもみなさんにお届けしたいと思ったのでした。

若い頃は、「たくさん」じゃなくちゃ意味がない、大きな効果がなくちゃ気が済まない、
と思っていたけれど、
ここ最近、たったひとりの人に何かを届ける確かさを大事にしたいなあと思うようになりました。

今日はお茶をいれて、おやつにミャクミャクもなかをいただこうと思います。

みなさんの「小さな確かさ」ってなんですか?

今日もいい1日を。


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