正しいか、正しくないかがわからなくても、やってみればよかった。

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この連載「もっと早く言ってよ!」は、ずっと前から知っている、と思っていたことなのに、
この年齢になって「あ、そうか!」とやっとわかった気がする体験を、
50代の私が、20代だった私に伝えるつもりで綴っています。

 

 

ノリコさん、そろそろ「やりたいこと」は決まりましたか? え? 決まるはずんなんてないって? そうだよね。自分の力もわからず、世の中もわからず、そんな中で「やりたいこと」なんて決められないよね。
でもね、ノリコさんより30年ほど長く生きてきた私が、教えてあげる。今すぐ決めた方がいいよ。あのね、わからなくても決めちゃうの。だって、きっといつまでたってもわからないもの。私がやっとこの頃わかったのは、人って「わかってから」「やる」んじゃなくて、「やる」から「わかる」ってこと。人って、経験したことの中からしか真実を拾い上げれない。だったら頭でわかってからやる、なんて不可能なんだよ。

 

ふふ。わかるよ。「だって何もわからないもん」って言いたいんでしょ。でもね、それって考えることから逃げているんじゃないかな? わからなくてもいいから一生懸命考える。それで「これかな?」ってかすかに思いつくことがあるでしょ。それをやってみる。はい、はい。かすかに思いついたことが、あってるかどうかわからない、って言いたいんでしょ。あのね、やってみることでやっと「あ、これでいいんだ」とか、「あれ、ちょっと違うかも」っていうのが初めてわかるんだよ。そして、「これのここがこんな風に違う」「もうちょっとあっちの方がいいかも」と次のステップが見えてくる……。

わからないことをやってみるって勇気がいるよね。だって間違えてる可能性大なんだもの。でも、「わあ、違った!」ってすごく大きな力になるよ。ノリコさんはね、間違えたくないんだよね。でも、人って間違えないと成長しない。私は今、若いとき、どうしてもっといろんな失敗をしておかなかったんだろう?ってすごく後悔している。私は、これまでライターしかやってこなかったから、この世界のことしかわからない。でも、若いころ、例えば友達とバンドを組んで大騒ぎしてみたり、ダンスに挑戦してドキドキしたり、ひとり旅に出かけてワクワクしたり、いろんなことをやってみればよかったと思う。それが何の実を結ばなかったとしても、「やってみた」という体験は、確かに私の中に蓄積されるはずだから。

 

正しくなくてもやってみればいい。もっと早く言って欲しかったな〜。だから、ノリコさん、今すぐはじめてみたらどうですか? 私もこれからいろんなわからないことをエイっと決めちゃおうと思います。


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