サボン・デ・シエスタ 附柴裕之さん

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北海道札幌に「シエスタ・ラボ」という石鹸の店があります。
初めて行ったのは、2年前。
取材のついでに自分で延泊し、知り合いに街案内を頼んで連れて行ってもらったのでした。

実はこのお店のことは、かなり前から耳にしていました。
洞爺湖のパン屋さん「ラムヤート」の店主、今野満寿喜さんが我が家に遊びにきてくれたとき
「これ、お土産です」と持ってきてくれたのが、「サボン・デ・シエスタ」の石鹸だったのです。
(「シエスタ・ラボ」は、「サボン・デ・シエスタ」の直営店の名前です)
そして「札幌の古いビルの一室にお店があるんです。店主の女性が一田さんに会いたいって言ってましたよ」と教えてくれました。
そのときから、私の中に「札幌に行ったら、ぜひ訪ねてみよう」とインプットされたのでした。

5年も経ってしまったけれど、やっと足を運べたお店は
私が思っていたより数倍大きくて、立派でした。
隣接するのは、札幌の有名カフェ「アトリエモリヒコ」。
店の奥には、石鹸をつくる「ラボ」があり、製造途中の様子を店内から眺めることもできます。
聞けば、2014年2月にこの場所に移転したのだとか。
店内には、白樺石鹸、天然あずき石鹸、ラベンダー、スイートミントと、なんだかおいしそうな名前の石鹸が並んでいます。つい、あれも使ってみたい。これもいい香り……と気がつけば、両手いっぱいに石鹸を抱えていました。

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この店を営んでいるのが、附柴裕之さんと彩子さんご夫婦でした。
なんと、ふたりとも北海道大学大学院理学研究科卒業!
石鹸を作り始めたのは彩子さんです。

今回「ビジネス」のお話を伺ったのは裕之さんですが、
本題に入る前に、彩子さんが石鹸づくりを始めるに至ってのお話を少ししておきましょう。

 

北海道大学で化学を専攻したものの、実験室にこもって実験を続ける日々に「何かが違う」
と大学院を休学。なんとカフェでアルバイトを始めたという彩子さん。
その経験の中で「人と関わる仕事がしたい」と思うようになりました。
さらに、ご自身が肌が弱かったため、自分のために石鹸を手作り。
自分で作った石鹸は、使うだけでもワクワクし、肌の調子もよくなって、
石鹸ひとつによって暮らしがぐんと楽しくなりました。
しかも、プレゼントすると誰もが喜んでくれたそう。
こうして、「私は、石鹸をつくる人になろう!」と決意したのだとか。
ただし、石鹸を販売するには化粧品製造業などの薬事法の許可を得ないといけないので、
大学院に戻り、卒業後は製薬会社に入って薬事法などを勉強したそう。
このあたりの冷静さがすごいところ!
退社後、石鹸を作りながらオンラインショップを立ち上げ、実店舗もオープンしたと
いうわけです。

 

そんな彩子さんの「今」へ至るプロセスや、暮らしの様子は
「暮らしのおへそ vol21」で取材させていただきました。

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取材の際、 ご自宅に伺って、初めてお会いしたのがご主人の裕之さんです。
その時は、ほんの少ししかお話しませんでしたが、
どうやら、「サボン・デ・シエスタ」の経営面を支えているらしい。
他にも、ビジネスを手がけてきたらしい……。
と漠然としたことがわかりました。
印象的だったのが、
「東京に、ビジネスのための経営セミナーに通っているんです」というお話。

へ〜!
いったい何を学ばれているのだろう?
あの素敵な石鹸の裏側には、どんなビジネス戦略があるのだろう?
「おへそ」の取材では、伺うことができなかったけれど、
いつか、そのお話を聞いてみたい……
と思ったのでした。

そして、このサイトを立ち上げて「ビジネスピープルからの贈り物」という、
コンテンツを企画したとき、ぜひ取材をお願いしよう!と思ったというわけです。

 

前置きがとても長くなりました。

お話を伺ったのがこの方、「サボン・デ・シエスタ」会長の附柴裕之さんです。

私が知りたかったのは、石鹸1個をどうやって「ビジネス」に繋げるか、ということ。
石鹸は家でもつくることができます。
インターネットで販売している人もたくさんいます。
そんな中で、「サボン・デ・シェスタ」の石鹸を、どうやってお客様に選んでもらうのか。
そして、どうやって利益をあげ、次へとつなげていくのか……。

石鹸という身近な素材だからこそ、
その「ビジネス化」について、聞いてみたいと思いました。
次回から、具体的なお話を伺います。

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