「弱さ」って悪いものじゃない。

 

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もっと早く言ってよ!」は、ずっと前から知っている、と思っていたことなのに、この年齢になって「あ、そうか!」とやっとわかったきがする体験を、50代の私が、20代だった私に伝えるつもりで綴っています。

 

一見しっかり者に見えるのに、傷つきやすくて、すぐにメソメソする。そんな自分の「弱さ」を、どうしたら変えられるんだろうか? もっと心が強い人になりたい。人の評価に振り回されない人になりたい。ノリコさんは、そう思っているんだよね。

でもね、「弱い」ってなかなかいいことだと思うよ。私は、この年齢になって、「人には、弱っているときにしか見えない風景がある」と思うようになりました。誰かに悪口を言われたり、仕事で失敗して凹んだり……。そうやってコテンパンにやられたとき、心がヒリヒリして、足元がす〜す〜して、心もとなくなる。そうすると、いつも渡っている歩道橋の上で、ふと見上げた空の美しさが心に沁みますよね。道ですれ違った人と、肩が触れ合ったら、「ああ、ごめんなさい」と心から言えたりにします。
自分が弱っているからこそ、美しさや優しさが、ビンビンと心の真ん中に響いて、「この世の中で一番大事なことは、誰かの心をちょっとだけ明るくしてあげられることなのかも」と考えたりする……。

人って本来強いもので、悲しいこと、嫌なことがあって、落ち込んでも、時間が経てばそれを忘れる、という自己回復機能が体の中にセットされているような気がします。でも、落ち込んだあの時のことを忘れると、どんどん傲慢になったり、勘違いをしたり……。そしてまた、ガンと頭を打たれるような悲しいことが起こって、「ああ、そうだった。私は優しく在ることを忘れてた」と立ち返る。その繰り返し……。

「弱さ」は、そうやって本当に大事なものに立ち返らせてくれる大事なアンテナなんだと思います。弱さがあるから強くなれる。

私は、この歳になって、やっと自分の「弱さ」を愛せるようになった気がします。


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