ずっと専業主婦でいるつもりだったのに……。アロマハウスリーフ 坂本早苗さん2

7v0a4800

 

愛媛県宇和島市で「アロマハウス リーフ」を営む坂本早苗さんにお話を伺っています。

 

何かを目指して、計画して、着々と歩んできた人のお話も面白いけれど、
おっとり、ゆったり、マイペースに過ごしてきた人が、何かの出会いがきっかけで、
自分でも思ってもいなかった道へ進み出す……。
私は、そんな方のお話を聞くのが大好きです。

人生って、思い通りじゃないからワクワクする!
パ〜ン!と出会い頭に見たものによって、人生の舵を大きく切る。
そんな体験をした人は、自分の中に「まだ気づかぬ自分」を持っていて、
それを掘り起こします。
そのプロセスが面白い!

 

坂本さんも、そんなひとりでした。

 

もともと幼いころから「香り」が大好きだったそうです。
「両親に、松山の百貨店に連れて行ってもらったときに、5階か6階にあった輸入もののシャンプーや
石鹸の売り場に行くのがすごく好きだったんです」と坂本さん。

初めてアロマテラピーを知ったのは1冊の雑誌ででした。
「精油が9種類ぐらい紹介されていて、アロマテレピーというのは植物の香りを使って、心身の不調を回復したり、健康や美容に役立てて行く自然療法だと知ったんです。
ああ、香りでこんなことができるんだ!と驚いて、どうしても勉強したくなったんですよね」。
それが、今から20年ほど前のこと。
当時、坂本さんは専業主婦で、娘の千穂さんがちょうど大学生になった頃でした。

「その頃、パートで金融機関に働きに出ていました。
ある日、テレビを見ていたら、松山でアロマテラピー教室が開催されると知って。
夜の講座なら、3時57分宇和島発の電車に乗れば間に合いそうでした。
仕事は4時までだったんですが、ちょうどタイムリーに30分早く仕事を切り上げてください、
ということになって……。
娘は、大学に通うために高松にいて、2人で松山で落ち合って、一緒に講座を受けたんです」。

 

おっとり見えるのに、「コレ」と決めたら、びっくりするような行動力を発揮するのが
坂本さんのすごいところ。

「学んでみたら、もう感動で……。
教えてくださった先生がとても面白い方で、人間は宇宙の一員である、という考えに基づいて、
アロマテラピーを教えてくださったんです。
いつも電車の時間の関係で、講座の30分前に教室に着くんですが、
集まってきた生徒たちに、先生方が、考古学とか天文学とか、色々な国に行った話とか、
宇宙の星の話をして下って……。
アロマテラピーの講義以上にそっちが楽しかったですね」。

 

この講座に通っていた頃から、卒業したらこれを仕事にしよう、と決めていたそうです。
「テレビで見たときにも、プロフェッショナルな仕事につけます、という宣伝文句でしたから」。

7v0a4327

 

実は、坂本さんはずっと専業主婦になって、家事や育児を楽しもうと心に決めていたそうです。

「幼い頃から母が働いていて、私はほったらかしだったんです。
愛情たっぷりに育ててもらったんですけど、それでも寂しかったんですよね〜。
だから、自分は専業主婦になって家庭にいたい。そう思っていました」。

 

坂本さんのお父様は、旧国鉄職員。
お母様は、坂本さんが2歳の頃に、国鉄職員や、近くにある地方局の人たちを相手にした
食堂と宿泊施設を立ち上げました。

そのとき購入したのが、今「アロハハウス リーフ」になっている建物だそうです。
「アロマハウス リーフ」が、今宇和島駅にすぐ近い、線路の脇に立っているのは、
そういうルーツがあるからなのでした。

「お母様、相当しっかり者だったんでは?」と聞くと
「やり手だったようですね〜」と坂本さん。

「母は早朝から深夜まで働いていて、お店の片隅に自宅の食卓がありました。
夕飯だけは、ちょっとの時間でしたが一緒に。
食後は仕事の手を止めて、レモンティーを入れてくれたり、という母ではあったんですが、
お風呂に入ったり……など色々な生活習慣を教えてくれるのは父でした。
お人形の三つ編みも父が教えてくれたんですよ(笑)
アウトドア派だったので、夏休みには川や海に連れて行ってくれましたね。

父は、毎日仕事から帰ってくると、晩酌をしながら宿泊客を相手に観光案内をしたり……。
人が集まるのは大好きだったみたい」
そして、同じく国鉄職員で、食堂にご飯を食べにきていた一人が、
坂本さんの今のご主人だそうです。

結婚し、念願の専業主婦になったものの、アロマテラピーに出会ったことで、
坂本さんの人生はガラリと変わりました。

 

アロマテレビーの教室を卒業後、自宅のリビングで教室をスタート。

坂本さんがアロマのことを語るとき、目がキラキラと輝きます。

「学びながら、いろいろな方法で精油を暮らしに取り入れることができるんです。
アロマテラピーは、精油を使って心身の不調を改善する自然療法です。
不調がなくても、精油を使って入浴剤などいろいろなものを作って、趣味として楽しむこともできます。
精油には、いろんな植物の力がギュッと凝縮されているんですね。
そのひとつに、美肌を作るという力もあります。
今回、一田さんのために、バラの美肌ジェルを作ったんですよ」

 

img_0258photo noriko ichida

これがいただいたジェルです。
帰って使い始めたのですが、本当にお肌がモチモチ、プリプリになります!

 

今では「アロマ」や「精油」は耳慣れた言葉になり、多くの人がアロマポットで精油をたいたりと、
暮らしに取り入れるようになりました。
でも、実は知っているようで、知らないことがまだまだいっぱい。

今回、坂本さんのお話を伺って、私は「アロマテラピー」というものと、出会い直した
ような気がしています。
坂本さんの歩んでこられた道と合わせて、そんなアロマの魅力もまた次回お届けします。

 

 

 

撮影/近藤沙菜

 

 

 

 

 


特集・連載一覧へ