コロナ生活で何を考えましたか? ZOOM茶話会やってみました。その2

非常事態宣言が出てから、ずっと家にいる日々。
のんびりしてるんだけれど、
今の私は何をどう考えればいいのかがわからない……。

そこで、今どんな風に過ごし、何を考えているのかを聞いてみよう!
と4人の仲間に声をかけ、ズーム茶話会を開きました。
それぞれの方が語ってくれたことが、とってもよくて、
あ〜、思い切って開催してよかった、と思いました。
そこで、みなさまにも、その様子をシェアさせていただきます。

私は全員を知っているのだけれど、4人は互いを知っていたり、「はじめまして」だったり。
そこでまずは、自己紹介を兼ねた近況報告をしていただきました。

まずはフォトグラファーの中川正子さんから。

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中川
「フォトグラファーの中川正子です。今は、岡山を拠点にして、東京やその他各地に出かけて
お仕事しています。これまでは多い時は週に2回は上京したりの暮らしでしたけど、今はずっと岡山にいます。
STAY HOMEになって、自宅から徒歩5分という位置にある山を歩き始めました。
欲しい刺激とか、新しいものを見たいっていう気持ちを、今は無意識に山に託している気がします」

一田
「私も中川さんのインスタを見ていると、ある時期から急に山の写真が増えてびっくり!
あれ、今日もまた行ってるの?と思って見てました。
でも、撮影のお仕事がなくなって、山に行ってもお金はもらえないよね?(笑) 不安じゃない?」

中川
「一田さんもそうだと思うんですけど、取材で素敵な方の暮らしの様子を拝見して、
自分の暮らしは置いてけぼり……っていうのが、ずっと後ろめたかったんです。
もっと料理がしたかったし、たくさん散歩もしたかった。
そうしたら、今はそれができるようになって、
最初の2週間ぐらいは、『やった、やった〜!』って感じでむしろ楽しんでいました。
でも、これから先どれぐらい続くかわからないし、
ずっと裏山愛好家をやってていいのかどうか(笑)」

一田
「中川さんは現実への適応能力抜群だよね」

中川
「麻里ちゃんも(タルマーリーの渡邉麻里子さん)そうだと思うんですけど、
一度移住しているっていうのがあるかもしれません。
私の中では、今回が3回目なんです。
東日本大震災の時に、何も考えずにノープランで岡山に移住して、
ジタバタして……。アトピーもすごく出てしまってひどかった。
それを乗り越えて、東京と岡山を行ったり来たりの二拠点生活が始まりました。
2回目は3年前に、息子が小学校に入るタイミングで、
もう一度ちゃんと岡山で暮らしてみよう、と東京の拠点を手放しました。
それぞれの時にアジャストするために、いろいろあったから、
変化に対しては慣れている部分もあるのかもしれませんね」。

なるほど、自分の思考を超えるところで、変化を体験した人は、
強いなあと納得しました。
過去の転機で、中川さんは何を考え、どう変わったのか、また後ほど伺いたいと思います。

 

次は、鳥取でタルマーリーという、自家製天然酵母パンとクラフトビールのお店を
ご主人の格さんとともに営んでいる渡邉麻里子さんです。

 

96372211_607166370146722_6517083662989656064_n写真:Kyoko Kataoka

 

渡邉
「今、お店にいるので、(ZOOMの画面の後ろに)段ボールがいっぱい見えててごめんなさい。
なぜ、こんなに段ボールがあるのかというと、
コロナの感染拡大を防ぐために、カフェ業務をお休みすることにしたので、
めちゃくちゃ一生懸命パンを発送しないと、経営が難しくなってしまったんです。
こちらの地元の人は県外から人が来ることをすごく恐れています。
うちのお店は県外からのお客さんが多いので……。ちょっと空気感がつらいですね。
なので、とにかく今は発送を頑張っています」

一田
「今、飲食業の方がいちばん大変ですね」

渡邉
「うちは、発送をずっと以前からやってきたので、まだましではあるんです。
でも、店頭やカフェと、発送とでは利益率が全然違うので……。
いくら頑張っても、スタッフ6人を雇用し続けるというのはすごく大変です。
ただ、正子さんがおっしゃっていたように、今までできなかったことができるようになりました。
今回『サポーター制度』というのを始めたんです。
登録いただいた方に、今月から12月まで毎月パンを送ります」

一田
「すぐいっぱいになってたよね?」

渡邉
「そうなんです!びっくりしました。
定期便なんですが、150人を目指したら、1週間で埋まって。本当にありがたいなって思いました。
後から気づいたんですけど、12月まで休めないんだなあって(笑)
でも、パンの職人は作り続けないと技術が落ちちゃうし、
作り続けられる体制を整えるのが私の仕事なので。
今は、いかに仕事を作り続けるか、を考えて、
タルマーリーを維持していかなければと思っています」

 

麻里子さんは、お店で「女将」と呼ばれています。
その「女将っぷり」はまた後ほど……。

 

次は「kuboぱん」の久保輝美さんです。

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久保
「埼玉でベーグルを販売していたんですが、その他にもいろいろなことをやっていました。
パン教室もやっていたので、料理家さんを呼んで、ワークショップをしたり……。
いろんな作家さんを呼んでギャラリーみたいなこともやりました。洋服や器の展示なんかも。
でも、今のこの状況=「この先の世界」を私はちょっと予感していたようなところがあって……。
『一旦すべてを手放す』ってことを、今やろうとしているところです。
今年の春分の日に、6月でお店をもって閉店すると発表しました。
ずっと意見が合わなかった夫とも、最近ようやく考えが一緒になってきて、
来年の春に、北海道に移住することを決めました」

一田
「私は、つい先日久保さんに別件でインタビューさせていただいたばかりなんですが、
パン屋さんを辞めるとか、ご主人も仕事を辞めちゃうとか……。
私からしたら、収入の道のシャッターをどんどん閉めていて、
この先どうするんですか?ってこっちが不安になっちゃう。
でも、久保さんは『絶対に大丈夫』って言うんですよね。その確信ったらすごい!
久保さんの弟子になりたいです(笑)」

久保
「畑をやれば野菜も食べられるし、光熱費とかはちょっとだけアルバイトをすればいいし。
あ、主人はあと4年、定年まで働くんですけどね。
でも、根拠のない自信があるんです。
最初に意識だけしておけば、現実はあとからついてくると思うので。
今、この状況も、これから美しい地球に変わるんだ!って思っています」

一田
「美しいってどういうこと?」

久保
「自然を取り戻すってことかな。
川も空気もきれいになって、どんどん美しく再生されていますよね。
そういう意味では、経済発展にフォーカスされなくなっていきますよね。
もっと自然と人間が一体化するような……。
お金で経済を回していた世界から、もっと美しい信頼関係の中でできることっていっぱいある。
そう思っています」

久保さんが今、見ている世界ってどんなものなんだろう?
それについても、また詳しく伺いたいと思います。

最後は、整理収納アドバイザーのEmiさんです。

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Emi
「兵庫県の西宮で、整理収納アドバイザーという肩書で仕事をしています。
12年前ぐらいから趣味でブログを書いていて、
10年前に双子を出産して、子供とインテリアや収納のことを発信したのがスタートでした。
通販会社を退社して、独立したのが8年前ぐらいになります。
主人も会社を辞めて、一緒に会社をやっていくことになりました。
一緒にやりはじめて5年たちました」

一田
「昨年初めて『おへそ的買い物のすすめ展』に出店していただいたんですが、
自社ブランドのオリジナルグッズも飛ぶように売れていましたよね?」

Emi
「はい、おかげさまで……。
今、4箇所の自社スペースがあって、スタッフが14名いるんですが、全員ママなんです。
このコロナのタイミングで、学校が休校になってもし全員がテレワークになったら……。
と想像はしてたんですが、実際に決まった時、『うわ〜、来たか!』って思いました。
でも、私はピンチになると頭がフル回転するタイプなので、
あれをして、これをして、こんな仕組みを作ろうって、
割とやる気になってテキパキ動いていました。
でも、2週間ぐらいしてから、みんなが慣れてきて『これでなんとかやっていけそうだね』
ってなったら、急に気持ちがガクッと下がってしまったんです。
ちょっとほっとしたこともあって、すごく落ち込んで、
そうしたら体調も悪くなって、2日間ほどですが、寝込んでしまいました。

志村けんさんが亡くなったことも、大好きだったから結構ショックで……。
でも、お笑い芸人のタカ&トシさんが、こんな話をしていたんですよね。
(うろ覚えでまちがっていたらすみません!)
『自分たちは、『欧米か!』っていうギャグしかないことに悩んでいたけれど、
志村さんが『僕だって、アイーン』と「だっふんだ』しかなにのに、ずっとやり続けてるよ。
一つしかないけど、一つあることはすばらしいんだから、
もっと丁寧にやりなさい』って言ってくれたんです』って。

私がいつも求められるのは片付けや収納のことが多いんですが、
もっと他の大事なこともあるのにな……って最近ちょっと思っていたんです。
整理収納を抜け出して、もっと根元にある発信をしたい、という思いがずっとどこかにありました。
でも、志村けんさんの話を聞いて、頭をが〜んと殴られた気がして。
私は、片付けと収納があったからこそ、こうやって今仕事ができて、
こんなありがたいことはないって。
だから、読者の方が求めてくださることと、今の自分が興味があることを掛け合わせて、
楽しいって思えることをもう一度考えてみよう、って思うようになりました。
先日一田さんもインスタライブをやっていらしたけれど、
私も動画をずっとやってみたかったんです。
そうしたら、急にスイッチが入って、4月に入ってからは、
片付けの動画を撮ったり、編集の勉強をしたり。今はそういう時間がすごく楽しいですね」

一田
「体調が悪くなったのは、自分で分析すると何だったと思いますか?」

Emi
「最初はもっと短期的に終わると思っていたんですよね。
あれ?もうちょっと? まだ終わらない?ということに疲れちゃったのかも。
今は、長期的にやっていける組織づくりを意識しています。
毎朝ZOOMで朝礼をするんですが、その後に全員でラジオ体操をしています。
時間の共有っていうことを、今すごく大切にしていますね」

 

自宅のちょっと先にある「山」という存在に気づいた中川さん。
仕事とはまったく別の「軸」で、自分を確かめる術を持っているってすごい!

「できないこと」が増えても、
いかに職人やスタッフの「仕事を作り続けられるか」を
自分の役割として、腹を括った麻里子さんの芯の太さを感じました。

「お金で経済を回していた世界から抜け出して、もっと美しい信頼関係の中で
できることっていっぱいある」と教えてくれた久保さん。
「美しい信頼関係」ってなんなんだろう? と知りたくてたまらなくなりました。

テレビの中の志村けんさんやタカ&トシのお話を「自分ごと」に落とし込んで
「何か」を気づけるEmiさんの心の柔らかさに驚きました。
どんな場所でも学ぶことができる……。自分を再構築するプロセスに興味津々でした。

近況報告だけでも、4人4様で、お話の面白いこと!
今の自分を説明してくださった言葉に、大事なワードがきらりと光っているようでした。

次回はもう少し、それぞれのお話を詳しく伺います。
4人が互いに作用しあうからこそ、話がどんどん深く広くなっていく。
その様子をまたお届けしますね。
お楽しみに。


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