サボン・デ・シエスタ 附柴裕之さんvol2

 

 

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北海道で石鹸を中心とした会社「サボン・デ・シエスタ」を営む附柴裕之さんに
「ビジネスのお話を聞かせていただけませんか?」とお願いすると
「いいですよ、来月東京に行ったときにお会いする、というのでいかがでしょう?」
とすぐにお返事をいただきました。

附柴さんと、サボン・デ・シエスタについての詳しい説明はVOL1をどうぞ

 

 

都内の某カフェでお会いして、
「今回は、どんなお仕事で上京されたのですか?」
と聞いてみると
「いえいえ、今回は仕事じゃなくて、経営のセミナーに参加するためにきたんです」
とのこと。
「経営って、教えてもらうと、上手くできるようになるものなんですか?」
と尋ねてみると
「はい、僕は行ってよかったですね〜。
たとえば、テニスでも自分と同じぐらいのレベルの人と練習するより、
錦織選手みたいなプロに教えてもらった方が、
あっという間にできるようになるでしょう?」と附柴さん。

 

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「それって、経営には『正解』がある、という前提のもとに教えてもらうんですよね?」
とさらに聞くとこんな風に教えてくれました。

「う〜ん、正解というのは、あるにはあるけど、ある意味ないのかも……。
そのときの、もっともいい最適な状態をつくるのが『正解』なんじゃないかな?

たとえば、体調が悪い人にとっての「正解」は、
1、病院に行く
2、食生活を変える
3、仕事を休んで休養する
4、環境を変える
といろいろあると思うんです。
どんなときに、どんな対処法を選ぶか?というのは、一概には言えませんよね。
でも、結果的に体調をよくすることができたとしたら、それが正解です。
ただ、この場合は、これが正解、という単純なものではないと思うんです」

その説明のわかりやすさに、思わず「なるほど」と頷きました。
そして、続けて附柴さんは、

「でもね、正解は実はあるんですよ」とにっこり。

「なになに?」と思わず身を乗り出しました。

「たとえば、人生にとっていちばん大切なことはなんですか?
と聞かれたとしたら、僕なら
『ひとりひとりが自分らしく、人生の中でいろんな体験を積んで、
死ぬまでの間、もっとも有益な体験をして、
その体験の中から人を助けて、世界をよりよくしていくこと』

って答えると思うんです。
つまりね、そのシーンにあるのは『愛』なんです。
経営においても、正解は、そこに『愛』があるかどうかなんですよ」

 

へ??
ビジネスのお話を聞きにきて、
最初から出てきた「愛」という言葉に戸惑ってしまいました。
それを見透かしたかのように、附柴さんはこう続けます。

「たとえば売上が急に下がって、このままだと今月中に会社が倒産するかもしれない。
そんなときに『大丈夫、愛があるから』
なんて言っても『なに?それ?』ってなんの役にも立たないですよね。
そういう意味では、経営には、そのときそのときに必要な「技」があるんです。
それはテニスと一緒。
テニスは頭でわかっていても、それができるかどうかは別ですよね。
そして、その技を学ぶのににも、恋人と楽しむためか、市民大会で勝つためなのか、
世界トップレベルで活躍するためか、
その人が求めることによって、その「技」は違います。

みんな経営を考えるときに「愛があるように」なんて思わないですよね。
とりあえず売上をあげようって考える。
だからうまくいかないんですよ。
というか、出発点は、誰かの役に立つためとか、いいものをつくるとか、
「愛」から始まるのかもしれないけれど、
実際にビジネスをはじめてみると、目先のことが大変すぎて、忘れちゃうんです」

 

どうやら、附柴さんのビジネスの根底にあるのは「愛」のよう……。
それが、いったいどういうことなのか。
「サボン・デ・シェスタ」における「愛」ってなんなのか?

徐々にお話を伺ってみることにしました。

 


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