分量はご自分で

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先日、「fog line works」で開催された、
竹花いち子さんの料理教室に参加してきました。
人と一緒に何かをする……ということが、
意外に苦手な私にとっては、珍しいことです。
いや〜、面白かったな〜!
そう、面白かったのです。

もちろん、料理がおいしい、
ということにも感動したのですが、
それよりも、竹花さんの料理に対する考え方が面白い!
デモンストレーション形式で開催されるこの教室、
最初に各人に配られるレジュメには、
その日作るメニューと、材料は記されているけれど
分量が書いていないのです。
料理教室なのに、分量がない!?
まずは、そのことにびっくりです。
「分量を書くと、かえって作ってみるとき、
必ず調味料を計って作るでしょう?
私は、料理って、その日の天気、材料、自分の体の具合によって
調味料を自分で調整するものだと思うんです。
加えてみて、味見をして、今日はちょっと……と工夫する。
それが料理だと思って」。
そんな風に教えてくださり、
なるほど〜!と膝を打ちました。

 

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私は、料理は分量を計って作るタイプ。
もちろん、肉じゃが、や大根の煮物など
実家で教えてもらった煮物系の料理の調味料は計りませんが、
自分で料理家さんの本をみて作り、
「おいしい〜!」となって、リピートして作るおかずは、
毎回、その本を引っ張り出してきたり、
メモしておいた分量を見ながら作ります。
なぜかというと、
失敗したくないから!
前回おいしくできたのに、今回はイマイチ、
だとがっかりするからなのでした……。

「暮らしのおへそ」で取材をさせていただいた、
「ご飯屋パロル」の櫻井えみ子さんも
「分量をいちいち計っていると、いつまでたっても覚えない」
とおっしゃっていました。
確かに、作り慣れた大根の煮物は、
出汁はこれぐらい、そして、鍋に直接しょうゆをタラ〜、
みりんをジャバ〜と入れていくだけ。
それで、だいたいおいしくできるのです。
つまり、だいたいの分量を目や手が覚えている……。

作るなら失敗したくない……。
だから計量スプーンでいちいち計る。
料理だけでなく、今までの私って、
そうやって生きてきたよな〜って思います。
「うまくいくように」生きてきた。
失敗の数はなるべく少ない方がいいと思ってきた。
でも……。
失敗するから学べることって、
失敗しないことより、
ずっとずっと大きな宝物になるんじゃないか。
最近、やっとそう思えるようになりました。

 

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料理教室で教えてもらったのは、
にんじんのポタージュ
ごぼうのフリット&れんこんの唐揚げ
大根と豚肉のバルサミコビヤンコ煮込み

にんじんのポタージュなら
今回は入れなかったけれど、赤いパプリカを加えて
水分を少し控えれば
パスタソースにしてもおいしい。

ごぼうのフリットは、
今回はパルメジャーノとパクチーのみじん切りをからめたけれど、
ゆかりや、七味でもいい。

竹花さんは、今日の料理の説明をしながら
それが、どんな風に展開できるかまで
あれこれ教えてくれました。
「こうじゃなきゃ」と決めないことで、
料理の幅が無限大に広がっていく……。

料理を習いに行ったのに、
なんだか、これから行く先を
「もっと、い〜かげんでいいじゃない」
と、スキップしながらの歩き方、鼻歌を歌ってみるお楽しみまで
教えていただいた気がしました。

さ!
今日から私は、計量スプーンを封印します。
失敗したらごめんなさい。
ま、そんな日もあるさ。
と言える私になれればいいなと思います。


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