蒸し暑い日が続きますね。
昨日は選挙に行き、クーラーをガンガンにかけて原稿を書いておりました。
先日、文筆家の清野恵里子さんに誘っていただいて、
増田いずみさん、という方の歌を聴きに行ってきました。
会場は、東京沼袋にある「シルクラブ」。
1988年に建てられた建物は、純日本家屋で能舞台を備え、地下はホールがあります。
私は原稿てんこ盛り状態の中だったので、
行く前は、気が重くて……。
増田いずみさんについても、全く知識を持たないまま出かけました。
でも……。
1曲目の「アリュールの香り」(G線上のアリア J.S.バッハ作曲)が
始まるやいなや、思いもよらずツ〜ッと涙がこぼれました。
それほど増田さんの歌声が素晴らしかった!
今まで、クラシックやオペラの歌を聴きに行くと、
どうしてもお尻がムズムズしてしまいました。
それは、歌っている人の熱量がものすご〜く高くて、
私がそれについていけないから……。
でも、増田さんはとてもさりげなく、静かに、そっと歌われるのです。
だからこそ、あえて抑えた小さな声が、聴く人の胸に、一本の光の線のように
す〜っと届く……。
ああ、本当のことは、こうやって伝わるのだ……と思いました。
そして、私は「書く」ということで、こんな風にできているだろうか?と思い返しました。
つい、伝えたい想いが前に出て、必要以上に強い言葉を使ったり、
大げさに書いたりしていないだろうか……って。
増田さんは、ニューヨークのジュリアード音楽学院で学び、宮本亜門さん演出のミュージカル
「キャンティード」デヒロイン役を務めるなど、確かな実力の持ち主。
大きく誇ることなく、「自分が」と主張しなくても、持っている力が本物だと必ず伝わる……。
歌の心は、大きな声でなく、自分の心で届けるもの……。
そう感じさせていただきました。
自分の仕事とは、全く違うジャンルの世界に触れて、
そこにある「本当のこと」に刺激を受け、
「自分のこと」に戻って変換して取り入れてみる。
私は、そんなプロセスが大好きです。
今日も、増田いずみさんの初期のアルバム「Heal My Heart」を聴きながら原稿を書こうと思います。
みなさま、いい1日を