「幸せな方の椅子」が1冊の本になりました〜!

いつも朝のウオーキングで通る公園があります。
周囲ぐるりと桜の木に囲まれて、その真ん中にベンチがひとつ。
最近、ここに座って、朝の贅沢な「ひとりお花見」の時間を取るようになりました。
朝って忙しいので、いつもはサッサカ歩いて帰るのだけれど、
足を止めて、ベンチに座って、桜を見上げてほっと一息。
すると、桜の木の中には、たくさんの鳥がいて、
チュンチュンと飛び回っていました。
桜の花に見下ろされながら過ごすひとときは、
自然の一部になったような、大地とつながったような気持ちになり、
とてもいいひとときでした。

自分の体を自分が離れて、す〜っと桜の木に登り、
自分を見下ろしているような気分……。
ずっと自分の中にいると見えないものが、木々や空や鳥の目になると
見えてくるのかもしれないなあ、なんて考えておりました。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

さて!!
じゃじゃじゃじゃ〜〜〜〜ん!

なんと!
じつは!
このサイトの「ライターズマルシェ」で連載してくれた
松山みゆさんの「幸せの方の椅子」(大和書房)が
1冊の本になりました!
4月9日発売です。

もう〜〜〜〜嬉しいなあ〜〜〜!
自分の本が出るよりも、心躍ってしまいました。

カバーの絵はなんと、福田利之さん。
装丁は鈴木久美さん。

編集担当の八木麻里さんは、
私の「丁寧に暮らしている暇はないけれど」をはじめ
「小さなエンジンで暮らしてみたら」などを担当してくれた方です。

みゆさんにぴったりの優しい表情の本になりました!

八木さんから
「幸せな方の椅子を本にしたいんです」
と言っていただいた時は、本当に嬉しかったです。
最近では、フォロワー数が多いとか、
必ず売れるとわかっている著者の本しか出してくれない出版社が多いのに、
ちゃんと内容をじっくり読んでくれて、
「これはぜひ」と言ってくださる……。
そのことに、なんだか感動してしまったのでした。

知らない方のためにちょっと説明をしておくと……。

夫が希少がんにかかったとき、
それでも、「病気でも幸せのままいようね」と約束したみゆさんと息子さん。
でも、時には過酷な状況に落ち込み、
それでも、とまた前を向き……。

夫を見送り、その後の今日までの記録を
丁寧に綴った1冊です。
「闘病記」と聞くと、なんだか壮絶で悲しくて辛くて……
と考えがちですが、
そのつらさとはまったく別の
さらさらと流れる小川のような、清らかさや安らぎや、優しさが満ちています。

みゆさんと初めて会ったのは、
ライター塾を開催する前。
当時はコロナになったばかりで、誰もがzoomに慣れておらず、
ライター塾を開催する際も、
希望者だけzoomを繋げるテストタイムをとったのでした。

仕事を終えて帰ってこられたみゆさんと
夜にPC越しに会ったのが「はじめまして」でした。

今では、元気溌剌で面白くて、東京にライブにかけつけちゃうようなみゆさんですが、
当時は恥ずかしがり屋さんで、物静かで、
「大丈夫かな?」と思ったことを覚えています。

その後、当時すでにガンで闘病中の夫をケアしながら
子育てをし、仕事をされていると知りました。

そして、ライター塾の卒業生のために立ち上げた
ライター塾サロンで、みゆさんが綴ってくれたのが、
この「幸せな方の椅子」の原型です。

そこで、みゆさんが書かれていたことは、
私の人生の一大事!となるほど、大切な、大切な真実でした。

それが、どんなに辛いことや、悲しいことがあったとしても
目の前に「幸せな方の椅子」と
「幸せじゃない方の椅子」「が置かれていたとしたら、
それを選ぶのは私自身ということ。

みゆさんは、本の中でこんなふうに綴っていらっしゃいます。

人は、毎瞬毎瞬、無意識にいろんな選択をしながら生きているものです。
でも、とても大変な苦しい状況に置かれると
何かに行く手をふさがれたように感じて、
もう自分では未来を選択できないように思ってしまいます。
でもそれは錯覚で、少しでも良い方向は舵を切ることはできるはず。

自分の人生の舵を、自分が置かれた状況にゆだねずに、
自分でしっかりと握りなおす。
少しでも幸せな方の未来を目指して、自分の意志で選択をしていく。

そんな選択をするときに思いついたのが、
「幸せな方の椅子に座る=幸せな方の未来を選ぶ」という発想でした。

なんて力強い文章なのでしょう………。
「自分の人生の舵を、自分が置かれた状況にゆだねない」
これって、すごい発想だと思います。

この真実は、病気じゃない人も、
身近に病気の人がいない人も、
どんな人のどんな人生にも、きっと役立つ
世紀の大発明だと私は思ったのでした。

すごい!みゆさん、
「幸せな方の椅子」って大発明だよ!と当時心の底から思ったことを覚えています。

人はそんなにすぐに強くはなれなくて、
悲しみに打ちひしがれてしまうかもしれないけれど、
でも、そこに「幸せな方の椅子」が一脚あるのだと
知っているのといないのでは、
大きな違いがあるなあと思います。

だからこそ帯には
「自分をはるかに超える悲しみがやってきても、
この本が手元にあれば、きっと大丈夫」
と書かせていただきました。

本には、このサイトの連載に書かれていた以外の
その後のみゆさんの様子や、
息子さんとのエピソードもプラスされています。

読み終わると、きっと晴れ晴れとした気持ちになって、
明るい未来に光が差している情景が浮かんでくるはず。

「幸せな方の椅子」(大和書房)

4月9日発売です。
amazonでは予約が始まっています。

ぜひぜひ、多くのみなさんに読んでいただきたいな、
手元にずっと置いておいていただきたいなと思っています。


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