初めての入院!

東京は小雨が降る月曜日の朝です。
みなさま、いかがお過ごしですか?

実は……。
12月の末と、2月に初めに入院しておりました。
人生初の入院……。
コロナ陽性のときには、ここに書くことができたけれど、
今回はさすがにリアルタイムには書けなくて、
入院前に、この「日々のこと」は書き溜めて、予約投稿していったのでした。
みなさま、ごめんなさい。

始まりは、去年7月に受けた人間ドッグ。
大腸健診でポリープが見つかりました。

私はポリープができやすい体質らしく、以前もあったので
「あ〜あ、またね」と思っていたのです。
後日、もう一度ポリープを取るために来院。
その日に取っておしまい!のはずでした。
ところが……。

麻酔で記憶がところどころない中で、
先生が「う〜ん、これはちょっと取れませんね〜」とおっしゃる。
そして「ちょっと、あちらの別室で説明しますので」とおっしゃる……。

「えっ?」
「どうして取れないの?」
「朝から2時間かけて下剤2リットル飲んだのに……」

人間ドッグの時に見つかったのは、プクッと膨らんだ普通のポリープだったのですが、
それを取る段階で、もう一度カメラを入れたら
腸にへばりつく形のポリープが見つかったと言うのです。
これだと、メスで剥ぎ取るように取らないといけないから、
専門の病院に紹介状を書くから行ってきてくださいと……。
しかも2センチと大きなものだったので、
もしかしたら、大腸癌かもしれないと……。

えっ!
思わず声がつまりました。
えっ? 私が大腸癌?

そこから、喉の奥に砂が詰まったような日々が始まりました。

まずは、すぐに専門病院へ。
来院すると「じゃあ、入院ですね。5泊6日です」
と聞いて、またえっ!
そんなに長く?
ポリープを取るだけなら、1泊2日か、2泊3日と思っていたのです……。
しかも、その病院でもう一度術前に検査をすると、
もうひとつ平たい形のポリープがあると言う……。
1回の手術では、ひとつしかとれないから、2回入院が必要……。

なんてこった……。

こうして、私の初めての入院が決まったというわけでした。
手術自体は、内視鏡で1時間ほどなので、すぐに終わりました。

もしかしたら癌かも……。
そうなると、昨日と今日の世界ががらりと変わった気がしました。

ああ、いろいろあったけれど、
リコンもしたし、お財布に500円しかない、という時代もあったけれど、
私って、これまですご〜く順風満帆だったなあ〜。
それはすごく幸せなことだったんだなあ〜と改めて思いました。

同時に「ま、いいか」と思ったのです。
そんなこと思う自分が信じられませんでした。
「私、ここまで十分頑張ったもんな」「だからもういいよね」
って思ったのです。
これが、その瞬間の正直な気持ち………。

でも……。
時間が経つにつれて、今度はどんどん不安になってきました。
抗がん剤治療をするのかな?
手術で腸を取るのかな?
あれこれ考えると、くら〜くなって、
普通に生活しても、たえず影がくっついてきます。

あの時のことを、今冷静に分析してみると、
私は「命がなくなる」ことは怖くなくて、
「命がなくなるまで」の時間が怖かったんだよなあと思います。

そしてその時、強く思ったのでした。
もし、癌でも私は幸せでいたいって……。

松山美由紀さんがこのサイトで連載してくださっている「幸せな方の椅子に座る
に書いてくださっている通りでした。

世の中には、きっと癌を経験した方、
今も癌と一緒に生きている方、すでに寛解した方など、たくさんいらっしゃると思います。
だったら、私も癌でもちゃんと生きていけるはず……。

そんなことを考えながら書いたのが、今年のお正月にこの「日々のこと」に書いた
今年の目標は、左右の手に違うものを握りながら進めるようになること」でした。
人は、喜びを右手に、悲しみを左手にと、
違うものを同時に持って歩いていける……。
そう信じたいと思ったのでした。

手術は2回とも無事終わり、
1回目は3日で、2回目は4日で、と少し早めに退院しました。
ドキドキしながら病理検査の結果を待ち、
つい先週、幸いに良性、との結果が出ました。

去年からの大騒ぎの日々が、やっと落ち着き、
ようやくここに、ことの顛末を書くことができた、というわけです。

今後は同時にひっかかった夫の検査があるのですが……。

良性でよかった……とほっとしていますが、
この半年ほどの間で、本当にいろいろなことを考えました。
いちばんよくわかったのは、
みんながなんの問題もなく生きていけるわけじゃない、ということでした。

2回目の入院の際、同室のふたりの方は、抗がん剤治療での入院でした。
ひとりは私より若い女性。ひとりは年配の女性。
でも、ふたりとも普通にスタスタ歩いて入院してきて、
看護婦さんと話し、点滴を受けていました。

癌を抱えながらも生きていける。
人生はいろんなことがあるけれど、
がくんと落ち込むことがあっても、寝れば夜が明ける……。

だから、もし横につらそうな人がいたら寄り添いたいし、
私にも、そんな日々がくるかもしれないことを思いながら
今日に感謝したいなあと思ったのでした……。

退院した週末に、コロモチャヤの美香さんが
「おつかれさまでした」と「MEG KNITTNG」さんの靴下を持ってきてくれました。
私の入院の日をちゃんと覚えていてくれたことが、
ものすご〜く嬉しかった……。

仕事仲間にも、日程を調整してもらったりと、
迷惑をかけたり、お世話になり、本当に感謝です。

すっきり腸の掃除を終えて、私はまた日々のいろんなことを書いていこうと思います。

今、病気を抱えている方。周りに病気の人がいる方。
どうにか、明るい方へ進めますように……。

そして、健康な方。
ぜひ定期的に検査に行ってください。

心を込めて、
みなさま、今日もいい1日を。

 

 


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