いちだ&さかねの往復書簡

いちだ&さかねの往復書簡 vol8 取材先の方ってどうやって探しているのですか?

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一田さん

前回の「いちだ&坂根の往復書簡vol7」でお返事をいただいてから
「なぜ私はインタビューに正解を求めるのか?」という
一田さんからの問いについて自分と向き合っていました。

そして、考えながら「一田さんだったら、どう答えるだろう…」ということを
今まで無意識に探ろうとしている自分に気付き、思わず苦笑してしまいました。
多分、私は期待を裏切りたくないのだと思います。

次こそはいい文章を書かなくっちゃ……とか。
取材先の方にも、せっかくお時間いただいているのだから、
素敵なページになるようにしなくっちゃ……とか。
読者の方にも何か気付きのあるような打ち出しができるといいなぁ……とか。

 

同時にそれは、「いいものを作らないと、次(の仕事)はない」という怖さも見え隠れしています。

 

取材するときの私は、今にも倒れそうなくらい(笑)、心の中で目いっぱい背伸びをしていて、
自分の思い描いている理想の表現を目指しつつも、
現実の目の前の書いた原稿にパソコンの前で愕然としています。
「あ~あ。一田さんだったら、もっとパパっと素敵な表現を書くんだろうなぁ」と、
自分の思考が止まるたびに、そんなことばかり考えていました。

 

一田さんの思考や表現に近づくことが「正解」だと思っていたのかもしれません。
そして、取材先の方の言葉を忠実に表現しているのは、
一田さんのおっしゃる通り、経験が少ない分、
取材先の方の迷いのない言葉が自分の生み出す言葉より、読者に説得力があるのではないか……。
表現することにどこか消極的な自分がそこにはいます。

 

でも、今回いただいたお返事で、「弱みと思っていた経験の少なさは、強みにもなる」
「私は、私でいい」ということに、ようやく気付くことができました。
これからは、今の私にしかできない質問や表現を、大事にしようと思っています。

 

さて、そこで早速なのですが、
質問が沸いてきましたのでご相談させてください。

 

新刊本「かあさんの暮らしマネジメント」では、
実にさまざまな生き方の軸をもった「かあさん」が登場しているのを拝読し、
「ライターの仕事は、文章を書けることよりも、まず誰を知っているかが大事」という
一田さんと出会った当初の言葉を、改めて思い出していました。

 

私は今のところ、取材先を自分で探すのは半年に1回。多くて2.3人なので、
友人や友人の知り合いの方にお声掛けさせていただくので間に合いますが、
一田さんは、一回に求められる人数が半端ないと思うんです。

 

雑誌や本の媒体により、毎回ジャンルの違う取材先の方を、
いつも短期間でどうやって見つけているのでしょうか。

 

坂根さん

私も、いつも取材先を探すのには四苦八苦しています。
そんなにいつもいつも印象的な方と出会えるとは限らないし……。

取材先を見つける方法は、大きくふたつあると思います。
ひとつは、どこかで誰かとばったり出会うこと。

この「出会い」を逃さないために大事なのは、
「先入観をなくす」ということ。

坂根さんとの出会いは、私のトークイベントに来ていただいたことでしたよね。
たくさん来ていただいた方がいらっしゃる中で、
やっぱり坂根さんはキラキラ目を輝かせて、
「私のことを見つけて!」と言っていたような気がします。
そんな強い思いを持っている方はやっぱり印象に残ります。

どこかのショップで同じようにお客さんとして入ってきた方と
ちょっとお話して、わあ、チャーミングな方だなあと思うこともあります。

お仕事でお会いして、打ち合わせが終わった後に、
お茶を飲みながら交わした雑談で、とても面白い考えを持っていらっしゃる
方だなあと記憶にインプットすることもあります。

こうやって、「どこかであった誰か」の記憶が、
新しく企画を立てたときに、「あ!あの人」とリンクして、取材に結びつきます。

誰かと出会い、その魅力を拾い上げるとき、
「先入観」があると、その幅がとても狭くなってしまいます。
「こういうナチュラル系のお店だから、来ているお客さんもナチュラル系だろう」
とか
「こういう仕事をしている人は、きっとこんな人種だろう」
とか……。

人は知らず知らずのうちに、出会った人をカテゴライズしてしまいがちですが、
その「先入観」をできるだけなくして、フラットな気持ちで
誰かに向き合う……。
そうすると、思ってもみない会話の端っこに、その人らしさが見え隠れしたりする。
それを捕まえるとワクワクするのです。

え〜、この仕事をしていながら、そんなことにも興味を持っているんだ!
わ〜、すっとした美人さんなのに、えらく男前な考えの持ち主なんだ!
その落差が大きければ大きいほど、驚きとともに印象に残ります。

出会った人の裏側に隠れている、個性という宝物にどれほど気づくことができるかが、
大事なのかなあと思います。

 

もうひとつの方法が、人からの紹介です。
すでに出会った人が、「いちださん、こんな人がいるんですよ」
と紹介してくださる。
本当にありがたいです。
そのために、心しておきたいのが、当たり前ではありますが
取材で出会った方々との縁を大事にするということ。

雑誌の仕事をしていると、ありがちなのが、取材先を「ネタ」として扱うこと。
私はこれが大嫌いです。
取材で出会ったとしても、それは人と人との出会いです。
だから、たとえ雑誌として面白くなっても、その人が嫌ということは書かないし
誌面でご紹介することが、その人にとってもハッピーになってほしい。

出会った人すべてとべったり仲良くすることはできません。
その時だけのおつきあいになってしまうことも多々あります。
でも、その人に向き合う気持ちは必ず伝わると思っています。
素敵なお話を聞かせてくださってありがとう……。

そう思って接することで、その人との縁が、また誰かにつながり、
大きな輪になっていく気がします。

 

坂根さんは、まだライターを始めたばかりだし、
出会ってきた人も少ないですよね。
でも、ずっと続けていれば、自然に人脈が広がるし
出会いも増えてくることと思います。
明るいし、見知らぬ人と仲良くなるのも上手そうだし、
きっとこれからいい出会いができそう……。

どんなにたくさんの人に出会っても
そこで、その人の魅力に気づかなければ、素通りすることになります。
大事なのは、出会いの質をあげること。
どんなに小さくても、その人らしい個性に気づき、
それに感動できる自分でいたいなと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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