ビジネスピープルからの贈り物

サボン・デ・シエスタ 附柴裕之さんvol3

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北海道で、石鹸を中心とした会社「サボン・デ・シエスタ」を営む
附柴裕之さんにお話を伺っています。

前回のvol2では、「ビジネスにいちばん必要なものは愛」
ときいて、大いに戸惑ってしまったワタクシ。

そこへいきつくまで、附柴さんがどんな道を歩んでこられたのかを
まずは伺ってみることにしました。

 

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北海道大学大学院理学研究科時代に、試薬メーカーに就職が決まっていたそうです。
ところが、
「僕は、その会社に1年半在籍していたんですが、1度も出社したことがないんですよ」
と笑う附柴さん。
「どういうこと?」ときいてみました。

「大学院時代、僕が研究していたのは、高機能ジェルでした。
ジェルって、一般的にものすごく柔らかくて壊れやすいでしょう?
でも、研究によって、とても丈夫なジェルができたんです。
これを使えば、きっと何かの製品ができるはず。
そう思っていました。
実際に企業からも関心をもたれていたし、せっかく研究してきたから、
ぼくもそれを形にするところまでを手がけたかった。

さらに、学生時代からいずれ自分でも会社を作って、それをマネジメントしてみたい
という思いがありました。
やりたいことはとことんやりたい性格なので(笑)
そういう会社員は、日本のカルチャーでは好まれないだろうなあと思っていたから……。
でも、どうしていいかはわからない。
そのうち、自分にあったやり方が見つかるだろうなと思っていました。

それでね、会社に入社する前に、社長に直接電話したんです。
『社長につないでください』って言ったら
『どんなご用件ですか』って聞かれて
『それは社長にしか言えません』って答えたら
『それでは、おつなぎできません』って。(笑)
それでも、『すごく大事な要件なので、どうしてもつないでください』
と頼み込んでやっとつないでもらい、
社長に『どうしても相談したいことがあるから、入社する前に僕の話を聞いてください』
とお願いしました。
すごく忙しい人だったのですが、『だったら明日来い』
と言ってくれて、すぐに飛んで行きましたよ。

そして、僕がやっている研究は、もしかしたらものすごく価値があるかもしれません。
もう一歩でそれが明らかになります。
でも、入社して会社に通うとそれができないから
しばらく時間をくださいってお願いしました。
そして、会社には、研究成果を形にすることを約束しました。
具体的には、論文を書き、学会で発表し、特許を出願するということです。
結果的に、それがすべて達成でき、その研究成果事業化の可能性も見えてきたので
会社から出資までしてもらって
大学発のベンチャーを立ちあげることができたんです。

つまり、会社の役員たちが、
20代の若造が新しいことを立ち上げるために、
会社の作り方を教えてくれて、ビジネスの立ち上げに並走してくれたってわけです。

やりたいことがあったとき、こうすればいいんだ、
ということがわかった僕の原体験ですね」

なんとなんと!
その行動力、強いマインドに驚きます。

誰かを「説得」する、ということは、
ビジネスだけでなく、「自分がやりたいことをやる」ために
とても大切なスキルなのかもしれません。

附柴さんほどのビッグスケールでの「説得」でなくても
私たちの身の回りには、小さな「説得」の機会が多々あります。
でも、みんなその「説得」をなかなかしようとはしないのではないでしょうか?

私にもこんな小さな経験があります。
取材をするときには、アポ取りが大きな仕事になります。
常に何冊かの本を並行して手がけているので、
そのアポイントメントの時間がどうしても重なってきます。
あるとき、先輩編集者が
「あの人は月曜日しかダメって言っていたけれど、火曜日に時間をもらえないか、
きいてみたら? この日しかダメと言われて、言う通りにしていたら、
なかなか全体のスケジューリングがまとまらないわよ。
『別の日ではいかがですか?』とひとこときいてみたら、案外時間をつくってくれたりするものよ」
とアドバイスをくれました。
若かった私は、「なるほど〜!」と目からウロコだったのです。

それ以来、「ダメ」と言われても
「ちょっときいてみよう」と押し戻す技を身につけました。

ダメと言われて、「じゃあ、これでどう?」と別の案を提案する。
投げられたボールを、受け取ってまた投げ返す。
そこにコミュニケーションが生まれます。
何かを生み出すには、
自分ひとりで悶々とするよりも、そうやってボールを投げ返し
また相手に投げてもらえばいい。
そうやって、戻ってきたボールには、加速度がついて、
よりパワーアップしているかもしれません。

こうして、附柴さんがご自身で研究した高性能ジェルによって、
実は、みんながよく使うある道具が画期的な変化を遂げました。

次回は、実際の附柴さんが作った商品について、お話を伺います。

 

 

 

 

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