美しきワガママンたち

ノマディカ主宰 南加奈子さん VOL4

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撮影/近藤沙菜

 

フォトグラファーやアーティストのマネイジメントを手がける会社を営む
南加奈子さんにお話を聞いています。

 

 

マネイジメント事務所に転職してから
主な仕事はフォトグラファーやヘアメイクのスケジュール管理や経理でした。

そんな中で、担当していたフォトグラファーが、
作家活動を始め、海外で賞を受賞。
一緒にニューヨークでの授賞式にでかけたそうです。

「もう、レッドカーペットの世界。
受賞のあとは世界のあちこちで巡回展がありました。
ああ、こういう風に広がっていくんだ、と初めて知ったんです」と南さん。

「ミュージシャンでいうライブが、フォトグラファーにとっては写真展です。
そこで、改めてアーティストの表現を見守ったり、手助けする面白さを知りました」

 

もうすこし、アーティスト個人個人と、深く関わりたい……。
そのためには、自分でやるしかない、となんと32歳で独立!

 

今までいろいろな方にインタビューをしていて、
好きなことを仕事にした方に共通しているのが、
みんな一見無謀ともいえる、「見切り発車」をしているということです。
行く先が見えていなくても、進む方向がわからなくても、とりあえずやってみる!
怖がりで、失敗したくない優等生体質な私は、
いつも、その「見切り発車っぷり」にのけぞって驚きます!
でも……。
こんな私でさえ、フリーライターになったときは、この先食べていけるかどうか
なんて皆目わからなかったし、
この「外の音、内の香」を立ち上げたときも、
どう維持していけるかなんてわかりませんでした。
だれでも「わかってから」ではスタートできないかも。
本当のことは、走りながら、わかっていくものなのだと思います。

先日、テレビで元サッカー日本代表の中田英寿さんのインタビューを見ていたら
「海外に飛び出すとき、勇気がいりませんでしたか?」
という質問に対し
「必要だったのは、勇気でなく、覚悟ですね」
と言っていらした言葉に深く納得しました。

 

でも、南さんはきちんと準備も重ねていらしたよう。

「どうしたら起業ができるのか、いろいろリサーチしたり、
ちょっとした講座を受けたりしていましたね。
区の説明会に出かけたり、銀行に借り入れに行ったり」。

ただし、独立時、「誰を」マネイジメントするか、
つまり、所属するアーティストは、誰一人決まっていなかったといいますから驚きです。

 

 

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こうして、VOL1で紹介したように、まずはギャラリーをオープン。
同時にアーティストを探し始めました。
「最初に誰もいなくて、不安はなかったのですか?」と聞くと
「大丈夫かなと思っていました」と笑う南さん。

「やるしかないと思っていましたから。
お金のために、っていう方法は絶対にやりたくなかったし、
『人』がいちばん大切なので、そこを曲げて誰かに声をかけるということはできませんでした。

私ね、どんなに作品が素晴らしいなと思っても、本人に会って違うなとと思ったら、『なし』なんです。
真剣さや素直さ、向上心……。自分にもそれ以上に向けられることなのですが、そこが大事。
今の時代、写真は誰でも撮れるので、1日1日をどう生きているかが写真に出ると思っています。
もし、まだそこまで到達できていなかったとしても、素直な心があれば作品はまだまだこれからでも、ぜんぜんOK。

そもそも、「この人」って思えば、一緒に生きていきたい、という図々しさから始まったので(笑)。

ただ好きでいるってことじゃなく、何か力になりたい、
なにか落としているものを拾えたら、先を照らせたらって思うんですよね」

 

そんな話を聞きながら
わあ、身近に、ポロポロ落としたものを拾ってくれる誰かがいてくれたら、
歩いていく先を照らしてくれる人がいたら、
どんなに心強いだろう、と思わずにはいられませんでした。

人は、自分が何を考え、何を望み、何を持っていて、何を忘れているのか、
なかなか自覚できないものです。

それをすぐそばに寄り添いながら、見えないものが見えるように声をかけ、
迷いそうになったら、足元を光で照らし、
時に一緒に悩む……。
そんなマネージャーという仕事は、なんて素敵なのでしょう!

ここまできて、やっと南さんが「やりたいこと」の端っこがすこし見えた気がしました。

次回は、「誰かの役に立つための自分になる」方法について伺います。

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