美しきワガママンたち

コアコア 久文麻未さん vol2 「偏っている」って素晴らしい!

 

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好きで好きでたまらないことを仕事にできた人は幸せです。

でも、多くの人は「好きなことで食べて行くなんて無理」と思いがちです。
私も大学卒業後は一般企業に就職しましたし、
まさか自分がこんなにも不安定なフリーライターという職業に就くなんて
思ってもいませんでした。
「好きなことを仕事にする」ということは、「明日はどうなるかわからない」という
不安と背中あわせです。
つまり、バランスよく生きたいと思うのは諦めた方がいいということ。

経済的安定や、穏やかな毎日や、バランスのいい人生よりも
「好き」の方が強いとき、
その人の目の前には、誰かと同じではなく、その人だけの道が見えてきます。

 

幼い頃から手を動かして何かを作ることが大好きだったという久文さん。
「小学6年生の頃、中学受験のために塾に通い始めたんですが、
親に内緒で塾には行かず、夕方6時か7時頃、吉祥寺の商店街『サンロード』
の屋台のアクセサリー屋さんに入り浸っていました。
そこには、大学生や美大生、役者志望のお兄さん、お姉さんたちがいて
みんなすごくおしゃれだったんです。
そこで、パン粘土で可愛いブローチを作って売ってもらっていました。
親には今も言えない話ですけど」と久文さん。

 

好きなものを持っていて、キラキラした目をしていれば、
たとえ子供だって、
同じ匂い載する大人とちゃんと繋がることができます。
いろんな人のインタビューをする中で、
何か特化した才能を持つ人は皆
うんと年上の人と、あるいはうんと年下の人と
いとも簡単に共通の言語で打ちとけ合い、
一つの世界観を共有するものなんだなあと、いつも感じていました。

 

「お母さんも作るのが好きな人だったのですか?」
と聞いて見ると、久文さんの顔がちょっと曇りました。

「そうですね。作るのがすごく好きな人だったと思います。
でも、私はそれが嫌でした。
だって、家事をしないんですもん。
和紙で日本人形を作ったりと、一つのことにハマると、
夢中になっちゃう。
『おとうさんが帰ってきているのに、
どうして、ご飯も作らず、お人形を作り続けてるんだろう?』
と子供ながらに批判的な目で見ていたような気がします。

でもね、朝起きたら、枕もとに縫い上げたばかりの洋服が
置いてあったのは、嬉しかったなあ」

 

きっと、久文さんのお母様もワガママンだったのでしょうね。

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初めて久文さんのご自宅に取材に伺った時の衝撃を今でも覚えています。
仕事場はもちろんのこと、玄関にも、リビングにも、キッチンにも、生地がどっさり。
あちこちに、糸やボタン、ファスナーなどのパーツがカゴに山盛りなってこぼれ落ちていました。
「わあ、これ可愛い!」と出会ったら、
「あんなバッグを作ろう」「こんなスカート作ろう」「アクセサリーもかわいいかも」
とアイデアが次々に浮かんできて、買わずにはいられない……。
どこにしまうとか、どう片付けるかなんて、
吹っ飛んでしまうのかも。
それは、久文さんはイヤと思うかもしれないけれど、
ワガママンだったお母様と同じDNAなような気がします。

ここで、家事をきちんとこなすとか、ものを減らして整理整頓するとか、
「そっち」を大事に思う人は、「バランス人種」です。
でも、もっと大事なものがある。
そう思う人が、「偏った」人。

ずっとバランスをとる事ばかり考えてきた私は、
「そっち」を「もうどうでもいい!」と投げ捨てて
「こっち」を握って離さない……。
そんなワガママンの才能を、本当にすごいなあと思うのです。

 

 

私の年齢から、もう人生をやり直すことはできないかもしれないけれど、
もし、今からでも、ほんの些細なワクワクを見つけたら、
後先考えず、夢中になってみたいなあと思います。
それは、ジュリーのコンサートに足繁く通うことだっていいし、
韓流を追っかけることだっていいし、
卓球に夢中になったり、カラオケを極めることでも……。

これができて何になるの?
そんな損得ではなく、
自分の思いのままに突き進んでみる……。
久文さんの若い頃のお話を聞きながら、
「好き」という純粋さ、そしてその強さを
私自身は、若い頃に持てなかったからこそ、
これから、チャレンジして手に入れてみたいと思ったのでした。

 

 

撮影/清水美由紀

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