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中川正子さん トークイベント報告4

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「外の音、内の香」主宰、中川正子さんのトークイベントの報告です。
vol3では、毎月新月前後に「アファメーション」で、10個目標を立てる、というお話を伺いました。

さらに、目標をたてた後、それが現実のものになったかのように
妄想するプロセスが大事だと語ってくれた中川さん。

でも、若い頃は自分に対して自信が持てない時期もあったのだといいます。

中川
昔は人と比較して、私なんてぜんぜん……って思っていた時期がありました。
表参道に青山ブックセンターという本屋さんがあって、写真集も素晴らしいものが
揃っているんです。
私はその青山ブックセンターに行く度に
そこにある写真集が、なんらかの理由で全部消えちゃえばいいのに、って思ってました(笑)
30歳くらいの頃かな?

一田
え〜!?ほんとに?

中川
その時にね、どうして消えてしまったらいいなどと思うのかと考えてみたんです。
そうしたら、他の方の写真集がなくなってほしいんじゃなくて、
わたしは自分の写真集を出したいんだってわかったんです。
悔しくて、うらやましかっただけで、消えてほしくなんてなかったんです。
そのことに気づくのにずいぶん時間がかかっちゃいました。
当時は、写真集を出すなら、立派な出版社の方に認めていただかないとダメと
思い込んでいました。

でも、そんなに出したいなら出せばいいじゃん!って気持ちが固まったのが30代前半かな。
そのあと、結婚して子供が生まれて、岡山に引っ越しをして……。
それまで東京で忙しく働いていたんだけど、
岡山に行って物理的にごっそり時間が空いた時
「いまだ!」って思ったんですよ。

よくも悪くも強い感情が生まれたときって、
自分のニーズを発見する大チャンスだと思うんですよね。

 

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一田
岡山に行ったときは、不安とかなかったんですか?

 

中川

子供を産んで、息子が11か月のときに震災があったので、西に行こうっていうことになって……。
夫の仕事が岡山に急に決まったこともあって、一緒に引っ越しました。
でも、子供が生まれた時点で、「フォトグラファーっていう仕事は続けていくのは大変だよ」
っていろんな人に言われて。
さらに岡山なんて、「言っちゃ悪いけど、もうお終いだと思うよ」って言われました。
それを聞いて、自分の中に
「終わりではない」「終わりではないことを私が証明する!」っていう気持ちが
ムクムクと湧いてきたんです。

出産後、赤ん坊っていうのは思うようにはいかないっていうことを思い知っていました。
それまで好きな仕事をバンバンやってきたんですけど、そうはいかない。
この時間は自分の時間って決めても、赤ん坊はずっと寝ないし
きれいにしたそばからどんどんご飯をこぼしていくし。
納豆を投げたり、悲惨なことがたくさんあって……(笑)。
そんな中、思いとおりにいかない時点で
私にとっての「ベスト」をもう一度考え直して、
そっちに向かって、またそこでもうまくいかなかったら、また「ベスト」を考えて……。
今までなかった思考パターンを11か月の間、みっちり身につけたみたいなんです。

そして岡山へ行って、
昔だったら、頭で考えて「東京から離れて、小さい子供がいて、仕事を続けていくのは
無理だろうな」と思ったかもしれないんですけど、
そのときは、
最初にたてた旗が折れちゃったら、また違う旗を立てればいい、って思った。
毎回更新して、その場でいちばんいいと思えることをやっていく。
そういうクセがつきました。
目標に固執しすぎないってことですね。
それまで、私は結構完璧主義者だったんです。
決めたらなにがあっても、根性と努力でなんとかするって。
だから、最初は子供が生まれて「できないこと」がすごく悔しくて……。
でも、ライブに行っても1曲聞けて帰ってこれたらそれでいいや!
とどんどん基準を甘くしていきました。
目標の立て方が変わったのかもしれませんね。

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一田
できなかったら手放す。
そんな中川さんの姿勢に、私はすごくびっくりしたんです。
決めたら続けなくちゃいけないんじゃないか……って優等生体質の私は思うんですよ。
でも、中川さんはいつもの間にか、違う方向に旗を立てて
くるっと方向転換してそっちに向けて走り出してた。
自分で旗を立て替えたのであれば、それでOKなんだ。
そのことが、私にとっては大きな発見でしたね。

たとえば、以前中川さんがやっていた冷えとりも今はお休み中でしょう?
自分で決めたなら、そこで辞めるという選択もありなんだって。

中川
冷えとりのファッションブックにのせてもらったこともあるから申し訳ないんですけど、
私、足が25㎝と大きくて、4枚靴下を重ねると26㎝とかになって、
履く靴がなくて、それがストレスになって……。
いつも男物のスニーカーもいやだなあって思ったり。
いやだな〜とか、かわいくないな〜って思いながら履いてると、
結局いい効果は出ないんじゃないかと思って、
半身浴はしているし、寝るときは履いているし、ま、いいかと思って。

一田
何かに夢中になるということは、
何かを手放すことも上手ににならないと……。
中川さんを見ていて、それを教えてもらいましたね。

 

中川
私の中の基準っていうのは、楽しいことはなんでもやればいいし、
つらいならさっさとやめる。

岡山に行ったとき「フォトグラファーとしては終わりだよ」って言われながら
でも、「終わりじゃないよ」っていう脚本を書いてみたんですよね。

それでこれだけ時間があるなら、写真集だな!と思って……。
自分の中でなかなか認められなかったけれど、いちばん強い欲求だったんです。
それを満たす方向へ変えてみよう、と出した写真集が「新世界」です。
これは、子供が生まれて一変した世界と
震災で変わったと思う世界の中で、
もう一度、ひとつひとつのできごとに新しい名前をつけてみよう
と思ったんですよね。

「子供が生まれて仕事の幅が狭まる」
っていう誰かが決めたラベルがあるじゃないですか?
そんなものは、剥がさせてもらって、
「子供が生まれたことによって新しい視点を持った」
みたいなラベルを自分で貼る。
岡山に引っ越してからの日々を
そういう、ラベル剥がし、貼り直しっていう時期にしようと思って……。
そのラベルの張り替えが今尚続いていますね。

写真集も、本当は大手出版社の社長に認められなきゃって思ってたけど
私はそうじゃない方向へ行こうと思って……。
最初は自費出版ってカッコ悪いかな?と思ってたんですけど
なんでカッコ悪いのかな?自分でお金出すなんてえらいじゃん!
やりたいことを思いっきり遠慮なくやれるし!
と思って。

一田
それで、最初の写真集は自費出版だったんですね。

 

 

 

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中川
若い頃、芸能界絡みのお仕事をしていたとき、
精神的にもきつくて、
こんな仕事、お金をいっぱいもらわないとやってられない!って思ってたんですよ。
それで、なんかあったときのために、このお金は全部貯金してやる!
って、怒りながら貯めていた定期貯金がありました。

岡山に行ったら洋服も全然買わなくなって、
貯金なんて必要ない、リリースしよう!と思いました。
そのお金が、写真集の資金になりました。

写真集ができて、写真展をやったとき、
1冊4000円近いのに、みなさんが買ってくださったんです。
それで、ほとんど持ち出しの分が返ってきた。
だから、いわばマネーロンダリングだったんですよ(笑)。

怒りながら貯めた貯金が、ありがたいキラキラとしたお金に変わったんです。

 

顔が見えない誰かが決めたことでダメだと思うことって、
本当にバカバカしい。
ラベルを貼り替えると、
現実もそうなっていくんです。
その上で、妄想してディティールを詰めていくんです。
岡山にいたらフォトグラファーとして仕事ができない、と言われた。
だったら、東京との往復3万円かかるけど、
少し大きめのバジェットのお仕事だったら交通費は私が持ちますって言えば
やらせてもらるんじゃないかなと考えました。
以前は、交通費はやっぱり先方の会社に出してもらうもの、って思ってたけど、
もう自腹で行くって決める。
そして好きな仕事をさせてもらって、自腹で帰る。
これでいいじゃん、ってペタンとラベルを貼る、って感じかな。

 

「ラベルを貼り替える」
という中川さんの発想に、驚いたのと同時に
新しい扉がパタパタと開いたような気がしました。
なんだか思うようにいかないな。
そう思ったなら、
自分で目の前にある現実のラベルを貼り替えちゃえばいいんだ!

真っ白なラベルを手に、
さあ、どこに貼ろうか?とあたりを見渡してみれば、
できることがぐんぐんと広がっていく気がしました。

 

 

撮影/近藤沙菜

 

 

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