「わたし、定時で帰ります。」と言える人に。

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とうとうゴールデンウィークの最終日となりました。
少しブルーな気分で朝を迎えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そんな時にオススメの本を1冊を。
ドラマ化もされた朱野帰子さん作のお仕事小説「わたし、定時で帰ります。」です。
たまたま手持ちの本を読んでしまって、駅ビルでササっと買ったのですが、
面白かったなあ。

主人公の東山結衣は、絶対に定時で帰ると心に決めている会社員。
その理由は、働きすぎで亡くなった父の姿にありました。
仕事場には、仕事中毒の元婚約者や、風邪を引いても休まない同僚や
すぐに辞めると言いだす新人など、様々な人がいます。

そんな中で取引先から無茶な仕事を振られて、社員みんなが協力して取り組むのですが……。

読みながら、ああ、わたしは会社に寝袋を持ち込んででも、仕事をやり抜こうとする
仕事中毒の晃太郎そのものだなあと思ったのです。

仕事が一番。
頑張ればどうにかなる。
でも、肝心の自分のことは後回し……。

そんな中で結衣ちゃんは、様々なことと格闘しながら自分を貫きます。
彼女は、決して仕事が嫌いなわけじゃないのです。
定時に帰っても、仕事はちゃんとできる。
時間が短くても、仕事のクオリティは下がらない。

そう信じて、いろいろな策を練る……。

今まで当たり前だと思っていたことは、実は当たり前じゃないのかもしれない。
残業をして当たり前。
仕事第一で当たり前。
でも、ほんとにそう?

「できない」と信じ込んでいたことが、実は自分次第でできちゃうんじゃないか?
「できない」という枠に閉じ込めていたのは、自分自身じゃないか?

そんなことを考えさせられました。

 

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ちょうどこの本を読み終えた頃、取材で知り合って、
その後プライベートでも仲良くさせていただいている原順子さんが、
拙著「大人になってやめたこと」を読んで、こんな感想を送ってきてくださいました。
原さんは、長年ファッション業界で働き、早期退職されて、今は大学に通ってアートを学ばれています。
最近ではお母様の介護も。

「大人になってやめたこと」を読んで更に昨日、別の友人に会い、
色々喋っていたら気が付いた事がありました。
妙に一田さんの本にリンクしてる気がしたので、ちょっと感想をお知らせしたくなりました。
一田さんがご自分の分析で優等生タイプと仰っているのはすごく共感出来ます。
自分もこうあるべきという刷り込みを子供の頃からされてきた。
ちゃんと勉強して、いい大学に行き、そこそこの会社に入り結婚して子供を育てて…。
でも、時代背景がすっかり変わってしまった。
高度成長期のロールモデルがすっかり通用しなくなった。
最適解と思われていた結婚して子育てして年金貰って余生を過ごすは有り得ない現実になった。
自分を省みてもそのロールモデルを刷り込まれたけど、その通りには出来なかったし、ならなかった。
その事に対する罪悪感を持つ必要は全く無いと今なら言えるけど、そうでは無い時期もあった。
一体、何が正解なのかわからないですよね。
みんなが同じ様にという教育をされて来ていきなり自立を求められるのが今の時代だと思います。
私はある時から世間でいう正解を求めなくなった気がします。
親に対しても、それは私の正解では無いので言う事は聞けないと態度に出していた。
先生に対してもそうだった。周囲の同調圧力も嫌だった。
だからこそ自分で自分にとっての正解を探すしかないのだと思っています。
それが自分にあるものを使う事ではと理解しました。
そもそも、ゴールの線は誰も引いてくれないし。自分で引いた所でまた次が見える事だってある。
生活の事、お金の事、健康の事、親の事、心配事は増える一方だけど、
それでも軽やかに生きて行きたいと改めて思ったりしています。
女子大生は主観と客観に手こずりながらレポートに追われてみます。
こういう時間を手にした事に感謝しつつ、一喜一憂してみようと思います。

 

「ゴールの線は誰も引いてくれないし、自分で引いたところでまた次が見えることだってある」
この言葉が心に沁みました。

もっと自分を大事にしよう。
「できないこと」は「できない」って言おう。
本当に自分の心が「やりたい」ことをやろう……。
少しでも、そんな方向へ進めたらいいなと思います。

みなさま、素敵な連休最終日をお過ごしください。

 


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