美しきワガママンたち

ケセラセラ。人生はなるようになる! 西村美津子さん vol4

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50歳をすぎて家族を解散! 3人の子供を残して独立し、
京都の町屋で暮らし始めた西村美津子さんにお話を伺っています。

vol3では、違和感を感じたらすぐに次の扉を開ける。
そんな西村さんの転職についてお話を伺いました。

 

ジャズ喫茶巡りをきっかけに、京都の町屋を見つけた西村さん。
実は、その少し前、住む家も決まっていないのに、
京都で仕事先を探したそうです。
そうして見つけたのが高齢者の療養型の病院でした。

「家を借りるには、仕事が決まっていないと、と思って」と西村さん。
それにしても、京都に住めるか住めないかも決まっていないのに、
就職を決めてしまうとは!

こうして、大阪の自宅から2時間かけての通勤が始まりました。

「5時に起きてお弁当作って、6時前に家を出て。
定時に帰れるので、夜は7時には家にいましたね。
これから始まるであろう京都暮らしのために、
これだけ頑張れる自分に惚れ惚れしてました(笑)」

 

そして、仕事が見つかったのを機に、
西村さんは家族に「解散宣言」をします。

 

「京都で仕事を見つけた時点で、子供達は私が京都に住むんだろうな
とわかっていたみたいです。
それで、言いました。
『私は23歳で結婚して実家を出ました。あなたたち、もう23歳を超えるよね。
いつ結婚するんですか? そろそろ自立を考えた方がよくないですか?』って。
また、子供達が就職した時には、
『私は、子供のために結婚資金を貯めてあげるってことはできません。
でも、この家にいる間は家賃や食費は出します。
だから、できるだけ自分たちの給料を貯金して、
自分たちの将来のことは、自分たちで責任を持ってやってください』
って約束したんです。

そうしたら、今回私が京都に行くにあたって
子供達一人一人がこの家を出るにはもう少し時間が必要だと言われて。
家賃は、今まで通り私が負担していますが、
光熱費は、長男に負担してもらうことにしました」。

「我が家では、キッチンや洗面所の水道のレバーが、水が青い方、お湯が赤い方なんですが、
長男が光熱費を負担するようになってから、
京都から大阪に帰ると、いつも青い方になっているんですよ。
今までは、いつも赤い方で、すぐにお湯が出ていたのに……。
ちゃんと節約しているんですね。
この間は、娘が『シャワーの温度が41度だと寒いから、43度にしてもいい?』
ってお兄ちゃんに聞いていました(笑)

 

私自身は、自立しないまま結婚してしまったので、
お金を自分でコントロールする、という点が一番抜け落ちていると思います。
家を回すのに、こんなにお金が必要なのか、って
全然考えずに結婚して、
仕事をするようになって、欲しいものがあったら、
自分が稼いだんだからいいじゃん!って思う方なので……。
だから貯蓄下手です。
あったらあっただけ使えますよ! それは才能かも」
と大笑い。

西村さんが、お子さんたちのことを語る時、
私はなんだかとても温かい気分になります。
突き放しているようで、
自分勝手なようで、
でも、その根底には、深い愛情が流れている……。
そう感じるからなのかもしれません。

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そして、大阪から京都への通勤を半年ほど続けたころ、
この町屋と巡りあい、
その後、週末ごとに通って手を加え始めました。

「ある時、平安神宮のフリーマーケットで椅子を買ったんです。
4000円だったのを3000円に値切って(笑)。
その時「今、家に手を入れているから、テーブルを作ってほしんですよね〜」
と言ったら、オーダーで作ってくれることになりました。
このご縁で、2階の床の張替えもやってもらいました。
手を加えたのはそれだけ。
畳だけは表替えしてもらいました。
畳は全部で15枚もあったら、結構費用がかかったんですが、
畳屋さんが、これだけ畳が残っている町屋もなかなかないから、
大事にした方がいいよ、って言ってくださって。
でも、畳が新しくなったら、部屋が見違えるようになりましたね」

 

京都は学生の街なので、リサイクルショップが充実しており、
リビングのイームズのチェアはなんと1500円でゲット!
「車がないので、抱えてバスで帰ってきました」と楽しそう。

ところが事件勃発!
「水道を開いてもらったら、水道代が一ヶ月で7万円だったんです。
もうびっくり!
水道橋の人に『どこか漏れていますね』と言われて調べてもらったら、
外壁の中の水道管にヒビが入っていて、水漏れしていました。
それで大家さんにお願いして、水道管を引き直してもらって……。
水道代も手続きをして、基本料金だけにしてもらいました。
最初はどこから手をつけいいかわからなくて
途方にくれましたけど、
ちょっとずつ作っていくのは楽しかったですね」

 

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それにしても、「住みながら」作るのではなく、
片道2時間もかけて週末通ったのはどうしてなのでしょう?
「それは、一人で寝るのが怖かったからです」と西村さんは大笑い。

「京都の家に通うようになって、2か月ほどが経った頃に、
長男が、自分が持っていたテレビを京都に送ってくれたんです。
やっぱりテレビの力って偉大ですね〜。
テレビがついているだけで全然違う!
生活感が出るというか……。
ない時には、ラジオを聞いたりしていたんですが、やっぱりどこかもの寂しくて……。
テレビがついていることで、世間とつながっている感じがするんです。

次男はDVDは送ってくれました。
ハッピーエンドなものだけを選んでもらったんですよ。
映画の『アメリ』はもう何度も見ましたね。
それで、やっと一人で寝れるようになりました(笑)」

 

あんなにしっかり者なのに、そんなところは可愛らしくて
クスッと笑ってしまいます。

 

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転職して定時に帰れるようになり、
仕事量は以前の8割ぐらいになりました。
当然収入も減りましたが、大きな問題はないそう。

「離婚して、持ち家を売り賃貸マンションに引っ越した頃から
私の荷物ってほとんどないんです。
リビングのソファベッドで寝起きして、
洋服は玄関の収納スペースに吊るせるぐらいでしたし。
ここにきて、さらに物欲がなくなりましたね。
転職して、年収が100万円ぐらい下がったけれど、
以前その100万円で何を買っていたかなあと思い巡らせてみたら、
『疲れているからー』と一回数万円のエステのマッサージに行ったり、
高級菓子をお取り寄せしたり(笑)
ただ浪費していただけだったんですね。
だって、生活そのものは何も変わらないんですもん」。

ああ、きっと私もそう!
と大きく頷いてしまいました。

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それにしても、今まであんなに仕事に全力投球されてきたのに、
物足りないということはないのでしょうか?

 

「気持ちの持ち方ひとつですよね。
50歳になって、自分がガンガン前に行かないと気が済まない、
というのがようやく抑えられるようになった気がします。
今までは、『自分が、自分が』と張り切って、
自分を認めてもらって、それがお給料に反映されるから頑張ってきたんですけど、
もうそこまでしなくてもいいのかなって……」

どうしてそう思えるようになったのでしょう?

「私生活が楽しいからですかね。
昔の特別養護老人ホーム時代に一緒だった看護師さんが、
定年を迎えて、92歳のお母様と一緒に生まれ故郷の奄美大島に戻られたんです。
それで、この間遊びに行ったんですけど、まあ素晴らしいところで。
私はもう両親もいなくて、実家もないんですが、
実家に帰った時みたいに甘えさせてもらいました。

京都に帰り、出町柳のジャズ喫茶で奄美大島の話をしたら、
『次は、店の常連さんたちとみんなで奄美大島に行きたい!』
という話になって…….
今度一緒に行く約束をしました。
そうやって、仕事以外のお楽しみがどんどん広がって。
お給料が減っても、充実度が全然違いますね」

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まだまだ家の中は、手を入れるところがいっぱい。
休みの日には、ヨガに行き、
友達を呼んでここでご飯を食べたて……。
一日があっという間に過ぎていきます。

今回、西村さんがお昼ご飯を作ってくださいました。
おでんとおからとお浸しと土鍋で炊いたご飯!
その美味しかったこと!
おでんのからしは、西京味噌にからしを混ぜると辛すぎない、と
教えてもらってなるほど〜!
私は、帰ってすぐに、この日と同じメニューを作ったほど美味しかったなあ〜。
この味に誘われてこの家に集まる人が多いのにも納得しました!

最後に「西村さんにとって幸せになるための方法」って何ですか?

と聞いてみました。

「子供に聞かれたら『は?』って言われるかもしれないけれど(笑)
『後先考えずにまず動く』。
これしかないですね。
『なるようになる』、『ケセラケラ』っていうのが
一番好きな言葉ですね。
お金は後からついている!
なんとかなるんです!
お恥ずかしい話ですが、給料日前の財布の中には、
千円札が一枚だけしか入っていない、っていうことは結構あります。
子供達にも『中学生並みの財布の中』って言われています。
私、54年間、なんとか生きていますもん!」

 

 

仕事ばかりしてきた私は、
今回お話を聞いて、
「自分は自分で面白がらせる」ことの大切さをひしひしと感じました。
もし、仕事がなくなったとき、
私は自分で生活を楽しめるだろうか……。
そう考えると、
そろそろ今から「自分を面白がらせる」練習をしておいた方がいいのかも、
と思ったのでした。

そのための方法が、
後先考えずに動く!

もしも今、
仕事で、子育てで、人生で
悶々と考えている人がいたなら、
この西村さんの京都暮らしが、
一筋の風を送り込んでくれたらいいなと思います。

 

撮影/近藤沙菜

 

 

 

 

 

 

 

 

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