もっと早く言ってよ!

「お願い」と誰かに言えることは、「私はできない」と降参できるってこと

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この連載「もっと早く言ってよ!」は、ずっと前から知っている、と思っていたことなのに、この年齢になって「あ、そうか!」とやっとわかったきがする体験を、50代の私が、20代だった私に伝えるつもりで綴っています。

あれもやらなくちゃいけないし、これも早く片付けなくちゃいけない。あ〜あ、誰か手伝ってくれたらラクなのにな〜ってしょっちゅう思います。ノリコさん、あなたは人に「お願い!」って言うことができない人だよね。優等生だから「自分でできることを人に頼むなんて、ダメなんじゃないか?」「まずは自分で努力してみてから、頼まないといけないんじゃないか」「こんなこと頼まれて、あの人は迷惑なんじゃないか?」ってつい考えてしまう……。

仕事では、一緒に働いているスタッフに「私がこれをやるから、あっちはあなたがやって」となかなか言えず、全て自分で抱え込んでくたびれ果ててしまう。
家では、仕事から帰ってきて夕飯の支度にとりかかるとき、テレビを見ている夫に「ねえ、手伝って」と言えない……。「私がこんなに疲れているのに、どうして手伝ってくれないの!」と心の中ではフツフツと思っているのに、「それぐらい、察してよ!」と、言わないでも手伝ってくれることを期待する。

ノリコさん、男性に甘えることもずっと苦手だったよね〜。「できない〜」「やって〜」って可愛く言うことができない(笑)。

でもね、私はやっとこの歳になって、どうして「お願い」って言えなかったのかがわかってきました。それは、無意識に自分がその人より「下」になりたくないと思っていたから…….「お願い」と言うことは、自分が「できない」と認めることです。両手を上げて降参して、「だから助けて」と頼むこと。プライドが高いノリコさんは、そんな自分が許せないんだよね。「降参することは、悪いことなんだ」と思い込んでしまう……。

どうしたら、そんなプライドから抜け出せるのか……。それは、一度「お願い」って言ってみればわかると思うよ。私は最近、少しずつ人にお願いするようになりました。インタビューの文字起こしだったり、雑誌に掲載する商品の許可取りだったり……。以前まで「自分でやらなくちゃ」と思っていたことを、それが得意そうな人に「やってくれる?」と手渡してみる……。そうするとね、ものすご〜くラクチンになってびっくり! え!私の時間を使わなくても、誰かがこんなに完璧にやってくれるんだ! それは、大きな大きな発見でした。ラクチンになった分、私は自分の「書く」という仕事に集中できます。

夫には、「ねえ、今日はコロッケだからキャベツの千切りやって〜」と具体的に頼む。すると、キャベツの千切りは夫の役目、という暗黙の了解が生まれて、今ではずっとお任せできるようになりました。ずっと「察してよ!」とイライラしていたけれど、どうやら夫に「察する」という能力はないようだと気づいちゃった(笑)。それより、「これをやってほしい」と言葉にした方がずっと伝わりやすい!

誰かにお願いする。そんなラクチンさを一度味わったらノリコさんもきっと病みつきになるはず。また大変なことが起こったら、あたりを見渡して、「これ、頼める人いないかなあ」とキョロキョロしたくなります。お願いするときのコツは、「それが得意な人」に頼むこと。相手も楽しんでやってくれるのが一番だからね。

それは、「私にはできない」と降参するラクチンさでもあります。ノリコさんは、今腕の中に抱えていること全てを自分で完璧にやりこなしたい、って思っているでしょう? でもね、「これはできるけど、あれはできない」って思ったっていいんだよ。そして、「これはできない」って諦めたら、すっごく自分がラクになる。ノリコさんの周りにも、きっと手伝ってくれる人がいるはず。

あのね、ノリコさんは、自分がやれることはぜ〜んぶやって、人生で一人勝ちしたい!ってどこかで思っているんじゃない? 私もず〜っとそう考えてましたから。でも、少しずつ「人にお願いする」ことができるようになったら、人生は、隣にいる人の力を借りて、みんなで幸せになっていくもの、ってちょっとだけ思えるようになってきた。
これからも、たくさん「降参」したいと思っています。

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