お知らせが遅くなってしまいましたが、
私が1冊担当させていただいている、「天然生活」別冊「暮らしのまんなか」が
発売になりました。
実は、10年ぐらい前まで私は自分の肩書きを「インテリアライター」と名乗っておりました。
もともとフリーライターとしてスタートしたときに、
やっていたのが「美しい部屋」。
普通の方のいつものインテリアを紹介する雑誌で、
この仕事のおかげで、私は日本全国行っていない都道府県はない、というぐらい
いろんなところに取材に出かけました。
フリフリのレースのカーテンとか、レンガシートとか、
そんなコテコテの生活感満載のインテリアが多かったけれど、
どの方もパワフルだったな〜。
キッチンのカフェカーテンを1枚変えたら、
毎日がちょっと楽しくなる。
そんな小さな幸せは、
この本の「暮らしのまんなか」はみんな違ってみんないい。
とか、
「暮らしのおへそ」の「習慣を変えれば明日が変わる」
というコンセプトにつながっていると思います。
だんだんインテリア誌というものが少なくなってくるこのごろ
「暮らしのまんなか」は、いろんな方の家や暮らし方を紹介できる本で
取材もとても楽しいです。
今回もいろんな方のおうちに伺いました。
「タキビベーカリー」の鈴木義雄さんと舞さんちのかっこよかったこと!
キッチンの壁面には、日本の古い小だんすがたくさん貼り付けられているのです!
ものが好きで、ドアノブや古い窓枠、建材など、かっこいいものを見つけたら、
とっておきたくなる義雄さん。
一方舞さんは、ギャラリーフェブの引田夫妻の長女で、「ものを増やさずすっきり暮らす」
家庭で育った方。
まったく違うふたりが、互いをリスペクトし、自分にはない違いを認めるからこそ、ふたりの世界が
融合して、新たな暮らしのステージが生まれる……。
そんなお話に、私も連れ合いのいうことにもうちょっと耳を傾けようと思ったのでした。(笑)
愛媛県新居浜市にある古道具店「sa vie sa vie」のオーナー佐竹育子さんは、
お店だけは行ったことがあったけれど、一度お会いしてみたくてたまらなかった方です。
「え〜!どうしよう〜。恥ずかしいから取材は嫌だけど、一田さんには会ってみたいし〜。
うわ〜、どうしよう〜!」
と言いながら、取材を受けてくださった佐竹さんに本当に感謝です。
そして、お店を営んでいらっしゃるにもかかわらず
「暮らしに本当に必要なものなんて、そんなにたくさんない」
とおっしゃるのです。
お客様にも「おんなじようなもの持ってるやん!」なんて言っちゃうのだとか。
そのお宅は、これまた男前で素敵!
キッチンの前に貼ってあるのは、なんとトタン板です。
時を経て、錆びたり、褪せたりしているものが好き。
そんな「好き」がずっと変わらないそう。
そして「ストライクゾーン」が限りなく狭い!
なかなか「好き」にはならないのだとか。
でも、一旦好きになったら、たぶん一生好き。
三日坊主で、あれこれ目移りしてしまう私には、
そんな佐竹さんの「もの」に対する愛をひしひしと感じたのでした。
なにより、恥ずかしがり屋さんで不器用で人見知りという佐竹さんの
正直で、まっすぐで、でも暖かくて優しいお人柄に
一気にファンになってしまったのでした。
そのほかにも、東京谷中から丸亀市へ移転した「旅ベーグル」松村さん。
住む場所を変えることで、経済が変わり、仕事の仕方が変わり、暮らし方が変わる……。
このサイトで連載をお願いしている坂下さんは、車を買えるぐらいの予算で
田舎の普通の民家を買って、週末の山暮らしをスタート。
一軒の家には、ひとつの部屋には、
その方の大事なものがギュッと詰まっている‥。
だからインテリア取材ってやめられません。
みなさん、ぜひ書店で手にとってみてくださいね。