50歳で人生の第2エンジンに点火! アロマハウスリーフ 坂本早苗さん3

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愛媛県宇和島市で「アロマハウス リーフ」を営む、坂本早苗さんにお話を伺っています。

アロマテラピーを学び始めてから、ご自身でも暮らしにアロマを取り入れ始めたという
坂本さん。
体調管理も、以前とは全く違ってきたそうです。

 

私は、なんとなくいい香りを楽しみたくて、部屋でディフーザーで精油をたいています。。
でも、坂本さんの説明は、とても理論的。
「どうして」アロマを使うのか、その理由をきちんと説明してくださいました。

 

「精油は鼻から香りを嗅ぐと、嗅上皮にくっついて、そこから脳へ電気信号で伝わるんです。
嗅上皮というところは、いわば、脳神経の細胞が突き出ているようなもの。
その粘膜にキャッチされた精油の成分は、脳神経を通って、電気信号に変換されて脳に伝わるんですが、
数十から数百と言われる有機化合物の成分が、脳のいろいろな分野から脳内ホルモンを分泌させてくれます。
例えば、リラックスさせてくれたり、
やる気や集中色を起こさせてくれたり、幸福感を高めてくれたり。

 

その日の体調によって、匂いたい匂いって不思議と変わってくるんですよね。
例えば、私は毎日お風呂に入る時は、精油を持って入るんです。
今日はちょっとラベンダーが使いたいなとか、ゼラニウムがいいなとか。
温浴効果はもちろん、わあいい香りだなあと感じたとき、
いい脳内ホルモンが湧き出てきて、疲れやストレスを好転させてくれます。
それがイコール体の不調も好転させることに繋がるんですよね。

精油の成分というのは、脳幹の視床下部まで伝わります。
視床下部は、ホルモンの分泌のバランスを整えたり、自律神経のバランスを整えてくれるところ。
精油がそこへ伝わって調整してくれるので、
ホルモンも、自律神経も整うし、免疫力も上がります。
人って、本能的に自分に足りないもの=必要な香りを欲するのかもしれませんね。
その時に、使いたい精油や、大好きな精油を使うとそれで大丈夫なんです」

 

なるほど〜!

アロマテラピー初心者の私は、「精油ってそのままお風呂に入れてもいいんですか?」と聞いてみました。

「一般的には、お風呂には精油の原液5滴以内なら大丈夫です」と坂本さん。

さっそく、私も「今日はどの香りにしようかな〜」と精油を選んでお風呂に入るようになりました!

 

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初めてアロマテラピーの教室に通い、アドバイザーの資格を取った後、
ご自宅で教室を開くようになりました。
まだ、アロマテラピーという名前も定着していない当時、生徒集めは大変だったそうです。

「最初は友達から。そこからだんだん宇和島市の生涯学習課からお声をかけていただいたり、
少しずつ徐々に広がっていきました。
教室では、精油の説明をして、後半は実習を。そのあとはお茶とお菓子でおしゃべり(笑)」

そんな中で、さらに上位資格を取るために、日本で一番大きいとされる、日本アロマテラピー協会の
インストラクターの資格を取るために勉強を始めました。

「福岡まで試験を受けに行ったんですよ」。

インストラクターの後は、セラピストの資格を。

「セラピストの試験は、とても厳しいんです。
実際に60分以内でマッサージをするんですが、試験官が横でそれを見ながら、質問するんですよね。
『そこはなんという筋肉ですか?』とか『なんのためにその手技でやっているのですか?』とか。
それに答えるとき、手が止まったらダメなんです。
人生でいちばん緊張しました」

見事一発で合格!
協会の認定スクールとして、講座を開くようになりました。

ちょうどその頃、自宅から今のお店の場所に移転。
それまで、学習塾として使われていましたが、ちょうど空いたのだと言います。

「今もこの奥に95歳の母が暮らしているんです。
ここに移転した頃は、85歳でそろそろ痴呆が始まった頃でした。
母のそばにいてあげたいし、ご飯の準備もしてあげたい。
あと何年生きられるかわからない母との時間を大切にしたいという思いもあって…….
ここに仕事場を移すことで、それが可能になるかと考えたんです」

今、坂本さんは朝、昼、晩とお母様の食事の準備をし、
昼間はデイサービスに送り出し、アロマの仕事をしているそうです。

そんな坂本さんのお話を聞いていると、
「優しい人は強い人」という言葉が思い出されました。

こうして、新たな場所で「アロマハウス リーフ」がスタート。
坂本さんが、50歳になった時のことでした。

 

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50歳から新たな舞台を作ることができたなんて、とても幸せだなあと思いました。
だんだん、下り坂になりがちな人生の後半を、
新たな場所で、再スタートできるなんて!

「私が欲張りなので、アロマだけでなく、ハーブも取り扱いたいし、カフェもやりたい。
洋服もちょっと置きたいし、雑貨もやりたい、ってことになって」と笑う坂本さん。

 

こうして、アロマテラピーに興味がある人だけでなく、
雑貨好きな人や、子供づれでゆっくりお茶をしたい人など、お客様の幅がグンと広がったそうです。

 

「ここにきて、意識が変わりましたね。
お客様をがっかりさせてはいけないので……。
みなさん、日常とはちょっと違う空間を楽しみに来てくださっている、と思うと
満足して帰っていただきたいなと思いますね」

 

実は坂本さん、ご主人が退職した後は、自分もリタイアして、
一緒に老後の生活を楽しもう、という設計図を描いていたそうです。

「それが、まったく違う結果になって……。
逆にどんどん忙しくなってきちゃったんです。
これは、まだリタイアできないなあと思って。

私は家庭にいる人になろう思っていたのに、
気がついたら、母と同じように、一生懸命働く人になっていました」

 

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次回は、坂本さんの「もう一つの仕事」について伺います。

 

撮影/近藤沙菜

 


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