脳内のデフォルト・モード・ネットワークをオンにせよ!

img_7956

 

蒸し暑い日が続いています。
みなさんのお住いの地域は台風の影響はいかがだったでしょうか?
我が家は庭の松葉がお隣さんや、近所の通路に散乱。掃き掃除でひと汗かきました。

 

最近、茂木健一郎さんの著書「脳を鍛える茂木式マインドフルネス」(世界文化社)を読みました。
「マインドフルネス」の本は何冊か読みましたが、茂木さんの解説はとてもわかりやすかったです。

img_7959-1

 

2〜3年前から「グーグル」や「アップル」などの会社が取り入れたりと、
グッと注目を集めた「マインドフルネス」ですが、
簡単に言えば、「今、ここ」で起こっていることに注意を向け、
自分の感情や思考を「判断せず」に、「観察」している心の状態のこと。

人は無意識に考えたり、感じたりを繰り返しています。
茂木さんによると、
そんな思考や感情が「自動操縦状態」に陥ると、起こりもしない未来に不安を感じたり、
過去の出来事を思い出して後悔する時間が増える。
このような悪循環を断ち切るために、「マインドフルネス」な状態にもっていくと
心が静まるそう。

このマインドフルネスな状態の脳は
「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる神経回路が活発に動いているのだとか。
この「デフォルト・モード・ネットワーク」は、
脳の中の「感情」や「運動」「記憶」などをつないで束ねる役割を果たすそう。

 

この「デフォルト・モード・ネットワーク」だけは、不思議なことに、本を読んだり勉強したり、何か特定なことに目的を定めて考えているときは活動が低下し、反対に無目的で何も考えていない時だけ活性化しています。いわば脳がアイドリングしているときに、一番活発に働いていることがわかっています。(「脳を鍛える茂木式マインドフルネス」世界文化社より)

なるほど〜。わかりやすい!
そしてこのとき、脳のメンテナンスが行われているのだとか。

 

脳のメンテナンスが行われることで、気づきを得られたり、ストレスが解消したり、前向きに生きられたり、創造性が高まったり、コミュニケーションがスムーズにいったりします。

 

つまり、考えることをやめ、判断することを中止し、決断せずに、ただただボ〜ッとしてみる……。
すると、「デフォルト・モード・ネットワーク」が動き始め、
脳の中にストックされた、感情や知識や、行動などの中から、必要なものを結びつけ、
自分でも無意識の中で「あれ」と「これ」をやってきたけれど、
それらがぜ〜んぶ繋がって、
ポン!と何かを生み出してくれる……。
そんなイメージでしょうか?

 

茂木さんは、「マインドフルネス」のことを、「脳の中を断捨離する」ともおっしゃっています。
この表現もとてもわかりやすい。
いろんな経験をし、考え、悩み、欲望を持ち、落ち込んで……。
脳は雑多なものを色々取り入れてたくさんの回路を作ってから絞り込んでいくほうが、より創造的になれるそう。
そんなノイズを断捨離した結果、す〜っと自分に戻っていくのが「マインドフルネス」だと。

 

もう一つ、興味深いなと思ったのが、意識と無意識と「マインドフルネス」の関係です。
世の中には、意識して計画しても思い通りにいかないことが沢山あります。
「マインドフルネス」は、よきせぬ状況が起こったときに、それを受け入れ楽しむことができると……。

 

僕が思っているマインドフルネスのイメージは、庭作りに一番近いと思います。庭作りは、人間の手で手入れをすることと、自然の力ーー天候や植物自身が持つ力--の両方がないとうまく行きません。意識と無意識の関係とは、この庭作りに近いと思います。意識とは人間の手で庭の手入れをすること。無意識とは自然の力に委ねること。意識の方でいろんなことをしても、最後は無意識の方の力がないとどうにもならないということです。無意識に委ねる気持ちがマインドフルネスな生き方なのです。

 

これも、「なるほど!」と膝を打ちました。
一生懸命、努力をしてもうまくいくとは限りません。
頑張ったのに結果が出ないとイライラします。
人間に必要なもう一つの力は、自分が意識しないところから「降ってきた」何かに
反応できる、というスキルなのかも。
これがなかなか難しい……。この「無意識の力」を捕まえられた人は、
きっと自分でも思いもしない場所へと登っていけるのでしょうね。

 

後半は、茂木さんご自身との「マインドフルネス」との出会いや、
今毎日やっていらっしゃる「瞑想ランニング」「全身スキャン」の方法が書かれています。
茂木さんの経験や、そのプロセスが綴られているので、とても面白く読みました。

そして、茂木さんの「瞑想ランニング」の「まねしんぼ」をして、
ランニングとまではいきませんが、
夜に行っていたウォーキングを朝に変えてみました。
(取材で早く外出しないといけない時には、できないかもだから、
続けられるかどうかは、これから実験する予定)
5時半ぐらいに起きて、6時から30分ほど歩きます。
これが気持ちよくてびっくり〜!
夜は、当然ながら暗いので、周りが見えませんが、朝は、並木道の大きな木の揺らぎも
足元の小さな花も目に入ります。
この時期、紫陽花の花が立ち枯れて緑色になり葉っぱと同化して、それでもなお姿を残して
いる様子がとてもきれいでした。
この時期30分間で2キロ早歩きをするだけで汗だくになります。

そんな中で思いました。
マインドフルネスは、過去を悔やんだり、未来を心配したりせず「今、ここ」を
観察することです。
そう聞くと、なんだか視界を小さくして、「今」に集中するようなイメージなのですが、
実際、歩きながら「今、ここ」をじっくり、たっぷり味わうと、
仕事のこと、取材の段取りのこと、家の掃除のこと、あの人との出会いのこと……。
と半径1メートルぐらいで起こっていることだけに意識を向けて
暮らしている自分から、す〜っと抜け出して、
紫陽花を見て、四季の巡りを思い、
鳥の声を聞いて、空の高さに気づき
大きな木を見上げて、大自然の大きさを感じる……
といった具合に、視界がどんどん広がっていくのです。
それが、なんだか一大発見のような気がして、
朝からウキウキ楽しくなってしまいました。

私の「今、ここ」は、世界の中のちっちゃな点なんだ。
ちっちゃな点の周りには、大きな世界が広がっているんだ。
そう思うと、「今できないこと」は、「いつかできるさ」と思えるし、
「こうじゃなきゃ」と思っていたことも「こうでなくてもいいかも」と思えるし、
「これからどうしよう?」という不安も、「きっと誰かが助けてくれる」と思えてくるのです。

すっかり長くなってしまいました。
朝散歩、なかなかおすすめです。

 

 

 

 

 


一田憲子ブログ「日々のこと」一覧へ