美しきワガママンたち

コアコア 久文麻未さんvol4 人間っていつどうなるかわからない。それを知っていれば、たいていのことはへっちゃら!

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ソーイングと手芸のユニット「Quoi? Quoi?」のデザイナー、久文麻未さんをご紹介しています。
Vol3では、「Do family」に入社してからの、ワクワクと楽しい日々について伺いました。

結婚して退社。
「子育てがしてみたかったんです」と久文さん。
ところが……。
やっぱり久文さんは、「作る」ことを手放せませんでした。
生まれたばかりの息子さんはかわいかったし、愛おしくてたまりませんでした。
「でも、作っていないと自分じゃなくなるみたいで……」と久文さん。

そこで、子育ても家事も終わって、子供やご主人が寝てしまった後に
こっそりエプロンを縫い始めました。
知り合いたちに「エプロン作ったんだよ〜」と声をかけると買ってくれるように。

さらに、通い慣れた吉祥寺の知り合いのお店では販売も始まりました。
「子供が2歳ぐらいになった頃だったかなあ。自転車の前かごに乗せて、
エプロン持って、吉祥寺に通ってました」と久文さん。

 

好きだからこそ、家事と育児と夜中にソーイング、という生活が
楽しくてたまらなかったようです。
でも、睡眠時間はどんどん短くなり、体には負担が大きかったよう。
気がつけば、微熱がずっと続くようになっていました。
病院に行くと、なんと膠原病だということがわかりすぐに入院。
久文さん33歳の時のことです。

「入院したら、強い薬を飲むから、すごく体が楽になったんです。
本当は3か月入院してなくちゃいけなかったんですが、
息子もいましたし、お姑さんに頼ってばかりはいられないし、1か月で退院しました」

でも、自宅に戻ってからがさらに大変な日々に。

「薬がないとたまらなく不安になるんです。
ほとんど薬に頼りっぱなしの生活でした。
精神的にも参っているから、家から出ることもなくなって、
子供にテレビを見せながら、横でソファーに座ってボ〜ッとしていました」

これではいけないと、お子さんを保育園へ。
すると、一人の時間が長くなりさらに何もする気がなくなってしまいます。

「ご飯を食べるのも億劫になっちゃって。
体はむくんで、髪の毛が抜けちゃって……。
切なかったですね」

今の明るい久文さんからは、想像もできない姿に
お話を聞きながら、絶句してしまいました。
しかもお子さんは、何が何でもお母さんが必要な時期です。

「友達がね、『麻未さん、ご飯食べよう』って誘ってくれたんです。
なんとか家を出て、吉祥寺まで行って、お昼ご飯を食べました。
嬉しかったなあ」

一番自分が弱ったとき、
何もできなくなったとき、
何者でもなくなったとき、
手を差し伸べてくれる友達がいるというのは、本当に何事にも代えがたい幸せなのですね。
私には、そんな友達がいるだろうか……
と久文さんのお話を聞きながら考えてしまいました。

自分が頑張ればなんとかなる。
そんな日々を送っている私たちは幸せです。
でも、病気になったり、どうしようもない事情で、
当たり前の毎日を送ることができなくなった時、
生きていくには、周りの人の助けがいる……。
そのことを、ちゃんと覚えておこう。
そう思ったのでした。

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その後、友達に紹介してもらったのが、私も時々通っている吉祥寺の鍼灸院「方圓堂」でした。
「私は、あの先生に救ってもらったの。
先生に相談しながら、薬を減らし、その状態をずっと見守ってもらいました。
『もう来なくていいよ』と先生が言ってくださった時、37歳になっていました」。

今では、すっかり元気な久文さん。

「人間っていつどうなるか、わからない。
そう考えれば、どんなことが起こったって平気です。
やりたいことをやらせてもらっている今が幸せ」

 

こうして、なんとか病気との折り合いをつけ、再出発。
でも、人生の後半にまた一波乱が起きます。
そのお話はまた次回に。

 

 

撮影/清水美由紀

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