「かあさんの暮らしマネジメント」  トークイベントvol3

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3月25日(土)に、吉祥寺のカフェ「ORIDO」にて、
「かあさんの暮らしマネジメント」のトークイベントを開催しました。
登壇いただいたのは、インテリア&フードスタイリストの江口恵子さんと、
mazekoze研究所の保手濱歌織さんです。

報告vol2では、「空白の時間をつくる」という「マネジメント術」について伺いました。
今回はその続きです。

 

一田
「この本の前書きにも書きましたけど、マネジメントっていうのは、感情と理屈を分けて
自分のことを理論で考えて見る、ということなんですよね。
私が、この本をつくってみていちばん感じたのは
おかあさんたちは、頑張ってもどうにもならないんだ、ってこと。
それは、私にとっては大発見でした。
そして、頑張ってもどうにもならないことを自分で認めちゃっていいんだってことも。
今まで、私はできないことを諦めるなんてありえない……と思ってましたから。

ここまでやったら私の仕事は完璧!というラインがあって
そこに向かって頑張ることが、大事だっておもっていたんですよね。
でも、80%しかできないとなったときに、
80%でいい、と認めるってすごいことですよね」

 

江口
「私もインテリアスタイリストの仕事をしていた頃に
1枚のお皿を見つけるために何軒もお店を回ることができなくなったんですよね。
1人目のときはなんとかなったけど、2人目、3人目を生んで
『完璧』という言葉を手放さなくちゃいけなくなったときに、すごくラクになったんですよね。

やっと今のままの自分を認められるようになったというか……。
以前は、『完璧な自分』を目指して、「今の自分」を「まだまだ」「もっともっと」と認められて
いなかったんだなあと気づいたんです。

子供がいるからできない、子供がいるから8割、っていうんじゃなく
今の私は、子供を産むことを選択しました。だから、この中でできることでいいんですって
やっと思えるようになったんですよね。

昔は、本当は諦めることがもっとも嫌いな人だったんです。
でも子供を生んで諦めざると得なくなったときに『もしかしたら、こっちの方が私らしいかも?』って思いました。
逆にそっちの自分の方が好きになったかなあ。
だから、子供がそうさせてくれたって感じ」

保手濱
「私もまったく同じですね。
子供を絶対言い訳にしない、って思いすぎていたら、いい仕事ができなくなった。
メール返す時間さえなくなったら
いいサービスを提供できないですよね。
だったら、一旦そんな仕事のやり方を全部やめて、
好きな仕事だけしよう、って思ったんです。
思いをもって作ってる人だけの手伝いをするようになったら、
もっとこうしてあげたい、と
お金との換算じゃなく思えるようになったかな。
詰め込んでいたときは、『よ〜し、この仕事で10万円になる!』なんて思ってましたから(笑)
今は、当時より全然いい価値を提供できるようになったと思いますね」

一田
「私は、子供がいないから
自分が120%の力で頑張っていることよりも大事なことがある、
そんなお母さんたちを本当にうらやましいと思うんですよね。
でも、今から子供産むわけにもいかないし(笑)

120%の力で頑張っていたものを80%でいい、って思うことって
価値観の転換ですよね。
こっちのタンクが100%満たされないと幸せにはなれません、と思ってきたことを
もしかしたら、別のタンクに10%移しても幸せになれるかもと視点を変えてみる。
もう1つ容れ物を持つという視点を持つこともありなのかもと思う……。

子供を産んだ人は自然と2つの軸を持つことになるけれど、
子供を持たない人も、今信じていることの横にもうひとつの軸があるかもしれない、と
考えてもいいんだ、とこの本を作って思えるようになりました。

これから歳を重ねていくと、今度は歳をとって『できないこと』『あきらめないといけないこと』が出てくるかもしれません。
そのときに、『もうひとつの幸せの受け皿』があるかもしれない、
っていう視点は、何かを助けてくれるかもしれないって感じたんですよね」

最後におふたりは、これからどんなふうに「かあさんマネジメント」が変わっていくと思いますか?」

 

江口
「今年の春から11年間保育園の送り迎えをしていたことから解放されるので、ちょっと気が楽になりますね。
もうちょっとできることが増えるかなあって思っています。
子育てをしながら、今まで自分ができなかったことを疑似体験させてもらっているなあと思うんだけど、宿題を見てあげて、こういう言い方をすると点数があがったとか、
長女の習い事もこういう言い方だとスイッチが入ったとか
子育てでの追体験が、子供の年齢があがるにつれて高度になるのが楽しみですね」

保手濱
「うちのいちばん上の息子が小学校2年生になるんだけど、かなりクセモノで
築地からバスで勝手に有楽町のビッグカメラまで行っちゃったりするんですよ。
そこで、気づいたんです。もうしばれないんだなって。
私は『人それぞれ』って世界を救うと思っていて、
自分の価値観って自分でしかないから
息子の荷物とかぐっちゃぐちゃですごく捨てたいんですけど
そこは息子の領域だから、断捨離はしない、片付けない、って決めてるんですよね。
まずは息子の発するものを受け止めてからの対話が大事なんだなあと思うようになりましたね。

今まで上の子だったら『もう早く行くよ』っていっていたのを、最近では待っていられるようになった。諦められるようになりましたね。
ものを持たない暮らしは自分の中でのことなので、家族には押し付けない、と思うようになりました。

結構完璧主義者なので、家のすべてが片付いていないとイラッとしていたんですが、
ごちゃついているところは、ボカシをかけることにしました(笑)」

 

今回のトークイベント、おふたりのテンポのいいかけあいが、ときに大笑いを誘い、それでも実感のこもった内容に「ふむふむ」とうなづき、
子供がいる、いないに関わらず、力強い「ほんとうのこと」に触れられた、とても素敵な時間でした。

何より登壇した私たちが「楽しかったね」「またやりたいね」とワクワクしたイベントでした。
また何かの形で、「かあさんの暮らしマネジメント・トークイベント」第2弾をやりたいと思っています。

 

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かあさんの暮らしマネジメント」また読んでいない方、ぜひお手にとってみてください。

 

 

 

 

 

 


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