当たり前のことを「受け取る」難しさ

img_5258

 

昨日、花屋さんの前を通ったら、切り花としては珍しく蓮の花が売っていました。
思わず一輪買い求めて玄関に。
先日お花屋さんを営む女性が、
「この季節が一番お花の種類が多いのに、蒸し暑くなって、
もちが悪くなると、花を買い控える人が多くて残念」
とおっしゃっていました。

なるほど!
今年は夏も花を飾って楽しんでみよう、と思ったのでした。

 

さて、先日facebookで見かけたこの本を読みました。

img_5254

39歳で若年性アルツハイマー病になった丹野智文さんの著書です。
トヨタのトップ営業マンで、2人の娘さんの父でもあった丹野さんが、
だんだんお客様の顔や、仕事内容や、ひいては同僚の顔が覚えられなくなり、
「疲れが溜まっているのかな?」と病院に行ってみたら、
2か月の入院で検査をした結果、若年性アルツハイマー病と診断される……。
その絶望から、立ち直り、仲間と出会い、家族に支えられ、仕事に復帰し
笑顔で生きる「今」までが綴られています。

一番グッっときたのが大学時代のクラブ活動のOBたちと会って、自分の病気を公表した時のエピソード。

「次に会うときに、みんなのことを忘れていたらごめんね」
と冗談交じりでいうと、先輩たちが言ったのが、この一言。
「大丈夫だよ。お前が忘れても、俺たちが覚えているから」。

思わず涙がこぼれました。

img_5256

この本を読んで、私が自分に当てはめて
改めて考えたのは、「受け取る難しさ」です。

丹野さんの場合は「病気」でしたが
私たちは、いろいろな理由で、何かができなかったり、サポートが必要だったりします。
でも、多くの場合、
「助けて」と声を出すことができません。

つい、「できない私が悪い」「頼んだら申し訳ない」と思ってしまい
「これを主張するのは当たり前」「やってもらうことは当然の権利」
とはなかなか思えません。

その結果、職場で一人で仕事を抱え込んでしまったり、
夫婦で子育てしているのに、妻だけが多くの負担を負ったり……。

弱い人を、丈夫な人が助けるのは当たり前。
忙しい人の仕事を、余裕がある人がヘルプするのは普通のこと。
でも、なかなかそう考えられない……。

どうしたら、受け取ることができるのだろう?と考えてみました。

その第一歩は
「できない」「苦しい」「しんどい」と感じた時、
その気持ちに正直になることかなあと思います。

私は、「助けて」ということが苦手で、ついつい一人で頑張ってしまいます。
その結果、自分が感じていることを無視してしまう………。
それは、きっと「できない」ことが自分で許せないから。
だから、自分で解決しようとしてしまう。
なのに、胸の奥で「どうして私だけ」とブツブツ文句を言ってしまう……。

そこで「できない」「苦しい」「しんどい」状況が、
どうしてそうなっているか、
一度、自分を抜け出して、天の上から見下ろすつもりで分析してみたら。
そして、「自分が頑張る」という解決法以外の方法を分析してみたら……。

そんな「もう一つの目」を持って
受け取って当たり前のことを、「ありがたい」と感謝して受け取れる人になりたいなあと
思ったのでした。

東京は今日も雨。
花屋さんにはどんな花が並ぶのでしょうか?
みなさま、いい1日を


一田憲子ブログ「日々のこと」一覧へ